しかし、これまでの4科目入試から算数1科目入試へと移行する中学が増えているのはなぜでしょうか?
その背景について、考えてみましょう。
まず挙げられるのが、”午後入試が広まってきたということ”です。
午後入試というのは、午前中に受験して、午後からはまた別の学校を受験することです。
首都圏では、近年この午後入試を行っている学校も増えているのです。
しかし、午前中と午後の2回入試を受けるというのは、受験者であるお子さんにとって大きな負担となります。
そのため、午後入試では受験の科目を減らすことで、負担を軽減して入試が受けやすくなるようにと考えていました。
算数1科目入試は、この需要にちょうど合致した方法だったのです。
併願で中学受験をする受験生は、受験勉強においてもそれぞれの学校を4科目全て対策するのではなく、1校の受験対策をした上でもう1校は算数だけ対策をしておけばいいので、勉強しやすくなるでしょう。
また、現代における“女性のキャリア意識”が変化したという点も、この受験が広まる要因となっています。
女の子の小学生を持つ親御さんが期待している進路として、理系への進学希望が増えているのです。
“リケジョ”という言葉も流行りましたが、人気のある女子校が学校としてそのリケジョを育てることに力を入れている、と表明するケースも増えています。
こうした学校は、算数1科目入試の採用にも積極的なケースが多いのです。
もともと、中学受験においては算数の成績が合否に大きく関わっています。
多くの私立中学の入試結果を確認しても、算数は合格者と不合格者の点数差が大きいのです。
そこから考えると、科目を絞って入学試験を行うとしたら、採用されるのは自然と算数になるでしょう。
更にいえば、他の科目について考えてみた時に、算数で試験をする意味は明らかなのです。
国語に関しては、最近活字離れが進んでいると言われていることもあり、“できる子”と“できない子”の差が開いています。
特に、男子の中でできない子が増えていて、女子に関しては大きな差がないといわれています。
国語については、文章を読み取る力が重要ではあるものの、明確な正解がない問題も多いので、対策が難しいという面もあります。
感性の問題である点も多いため、これだけで画一的に学力を試すには向いていないといえるでしょう。
社会に関しては、ほぼすべてが暗記問題です。
暗記は、時間をかけさえすればできないことはないのですが、環境の違いによっても差ができてしまうため、暗記力を測る以外には向いていないでしょう。
理科については、本来実験や観測などが重視されるべき科目です。
しかし、入試という場では、どうしても割合や比率などの計算問題や名称の暗記などが主となってしまうので、これも試験科目としては不適当です。
以上のことから、1科目を選ぶとなると算数が選ばれやすいのです。