全日制への進学が難しい場合は

入試に伴うさまざまな困難や、ご本人の精神的、肉体的理由で、全日制の高校へ通うのは難しいというケースもあると思います。
そうした場合は、次のような選択も視野に入れてみましょう。

定時制高校

定時制というと、いわゆる「夜間学校」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年では「三部制」や「単位制」が導入されるなど、多様化する生徒のニーズに合わせてそのスタイルも変化しています。

*三部制:
1部(午前4時間)、2部(午後4時間)、3部(夜間4時間)の時間帯を組み合わせて授業を受けることができる
*単位制:
学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる
全日制との違い

さて、進学先として検討するにあたり、全日制の高校とはどのような違いがあるのか、当然気になるところです。

定時制高校の特徴

・生徒の年齢層が幅広い

学校といえば、「同年代の子どもたちが通う場所」という認識が一般的なように思います。
高校生ならば、中学課程修了後エスカレーター式に進学して3年間、つまり15歳~18歳の子どもたちです。
しかし、定時制はこうしたイメージを作り上げている全日制の学校に通いきれない層の受け皿でもありますので、生徒たちが必ずしも同年代とは限りません。
職業を持っている人、家庭と両立をしている人、様々な事情で全日制ではなく定時制で学ぶことを選択した生徒たちが通いますので、年齢で区切られない同級生ができることになります。

・4年間または3年間で卒業

基本的には4年間で卒業できるようなカリキュラムとなっています。
全日制では3年間なので、1年多い計算です。この1年の差は何かというと、定時制では一日の授業時間が短いためです。
しかし、制度改正により一日の授業時間を増やしたり、通信制の授業と併修したりすることで、全日制と同じく3年間で卒業することも可能となっています。
そうなると、「どうせならば全日制と変わらず3年間で卒業を!」といった気持ちも芽生えて来るかと思いますが、期間を短縮するということはそれだけ詰め込む必要があるということです。
3年という数字にこだわりすぎて、無理をしてしまわないよう気をつけましょう。

通信制高校

言葉通り、通信によって教育を行う学校です。
学校に登校して授業を受けるスタイルではなく、自宅での学習が基本となります。
もちろん文部科学省の定める正式の教育課程ですので、課程を修了すれば高卒の肩書が得られます。

全日制との違い

定時制と同じく、生徒の年齢層や卒業年数の違い(最短3年~自分のペースに合わせて)のほか、下記のような特徴があります。

通信制高校の特徴

・登校不要

「登校不要」というのが、何をおいても通信制の最大の特徴です。
全日制であれば校舎に登校し授業を受けるところを、通信制では自宅で学習を進めます。
学習の成果を確認・評価するのは、①添削指導(レポート)、②面接指導(スクーリング)、③試験(テスト)です。

  1. 添削指導(レポート)
    学習内容に沿った課題。郵送またはインターネットを通じてやりとりされる。
  2. 面接指導(スクーリング)
    いわゆる登校スタイルの「授業」。登校日は月数回というのがスタンダード。
  3. 試験(テスト)
    単位を修得するための試験で、年間1~2回実施される。

上記は一般的な例ですが、近年は通信制のあり方も多様化しています。
登校についても全日制のように毎日通学タイプを選べたり、インターネットによるスクーリングを導入していたりするケースもあります。

フリースクール

不登校を考える時によく耳にする言葉ではないでしょうか。
ざっくり言えば、不登校の子どもの受け皿としてNPO法人やボランティア団体、あるいは個人が運営している施設がフリースクールと総称されています。

フリースクールの特徴

・「学校」ではない

上に挙げた定時制、通信制と異なるのは、フリースクールは文部科学省の定める学校ではないということです。
つまり、フリースクールに通うことで「高卒」という学歴はつきません。

・「居場所」の提供

フリースクールでは勉強もしますが、それが主眼ではなく、「学校」に代わる子どもの居場所を提供するというのが大きな意義になっています。
学校は子どもの世界の大部分を占める要素ですから、その学校に通わなくなってしまうと、世界は急速に収縮し、子どもは孤立してしまいがちです。
フリースクールの存在はそうしたことを防ぎ、子どもの精神的安定をもたらす役割を果たしていると言えます。

・施設によって方針はさまざま

様々な団体、あるいは個人が運営しているので、施設によって方針には違いがあります。
上で述べたような居場所タイプから、学校復帰を目標とした学習重視タイプ、通信制の生徒の学習を支援するサポート校などさまざまです。

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ご注意いただきたいこと

定時制、通信制、フリースクールどれにも共通して言えることですが、全日制に比べて自由度が高く、不登校に陥り全日制に戻るのは壁が高いというお子さんでも無理なく取り組めるシステムになっています。

しかし、自由度が高いということは自己責任を伴うということです。

規定のカリキュラムに縛られずにすむ代わりに、自分のペースを自分で作り上げキープしていかなければなりません。
これは非常に難しいことです。
自分に甘えを許してしまうと、どこまでも怠けてしまい、結果、やる気も先細りして立ち消え、中途に投げ出してしまうことになります。
事実、定時制、通信制では残念ながら卒業率が低いのです。

そのため、重要なのは自己管理ですが、大人でも頭で思い描くとおりにコントロールするのは容易ではありません。
ましてや当人が不登校で自信を失っていたり、迷いの中での進路選択で揺らいでいたりするような場合はなおさら、ちょっとしたことで心が折れてしまいがちになります。

学校側でもいろいろなアイデアで体制を整えてはいますが、それでも制度がすべての子どもたちの状況にぴたりと当てはまることはありません。
最後はお子さんの状況に応じた 判断が必要になります。
ご家庭で注意を払うのはもちろんのこと、お子さんの身近で細やかなサポートができる家庭教師の併用をぜひご検討ください。

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