高校受験 英語の学習法

高校受験の科目の中で、最も努力が結果に表れやすい科目である。よく世間で理系タイプ・文系タイプと言われるように、数学、国語に得意不得意が出るのはある程度仕方がないことなのかもしれない。しかし英語は、必要な得点は絶対に取るべき科目である。英語ができることが合格への必要条件だと言っても過言ではない(むろん「必要十分条件」ではないが)。

以下、問題の分野別に英語の受験対策を考えてみたい。

A. 英単語の学習法

英文で意味を与えて適切な単語を書かせる(選ばせる)問題、対義語、派生語などを問う問題、発音・アクセント問題などは、知っていればほぼノータイムで答えられるだけに、確実に得点にしたいところである。
そして何よりも、長文読解において、単語の意味が分からないために筆者の主張をつかめない、小説の流れや重要なせりふを見失うといった事態は避けたい。
語彙力は読解の基礎と思って、単語学習には積極的に取り組んでほしい。

単語は単語帳で覚えるのが基本である。
市販の英単語暗記カードも多数あるが、既製品というものは往々にして「帯に短し襷に長し」である。
そのときの自分の状況や志望校に合わせて自作のカード、自分の知らない単語だけ集めたカードを作るのが一番である。

公立高志望者であれば、まず英検3級の単語から始め、『全国高校入試問題正解』(旺文社)が手に入ったら各都道府県の入試問題から、さらに模擬試験に出たものから、というふうに自分の知らない単語を順次追加していくようにしよう。

私立高志望者の場合は英検準2級レベルが基準になる。
中3の始めには3級の単語を完全に覚えきり、夏休みには準2級も一通り覚えてしまおう。そのあと2級に入っていければ理想的だ。

とはいえ、英単語の勉強に多くの時間を割く余裕はないだろう。
たとえば、お風呂のお湯がたまるまでの15分、夕食が調うまでの10分など、いわゆる「細切れの時間」を活用するようにしたい。
覚えきったカードは外し、場所を決めて保存しておこう。
しばらく時を置いてから見直すのは非常に効果的だ。また、単語はただ見るだけではなく、書いて覚えることも忘れてはならない。

単語の学習は、意味とスペルを覚えるだけでは不十分だ。
その単語が、どのような構文で、またどのようなニュアンスで使われるものなのかを知らなければならない。
そのためには、よく言われることだが、「辞書を引く」のではなく、「辞書を読む」習慣を身につけてほしい。
take,make,get,come…など用例の多い単語は、その全てに目を通しておくべきだ。
さらに、ある単語を調べるとき、対義語、類義語、派生語、発音・アクセントなども同時に調べて覚えてしまうのはもう言わずもがなであろう。

B. 英文法の学習法

英文法問題の出題形式としては、空所補充、正誤判定および誤文訂正、書き換え、部分英作文・並べ替え英作文などがある。
特に英作文は近年比重の高まっている分野であるが、その内容は文法問題の延長である場合が多い。
また、接続詞や分詞、関係代名詞などの知識が不足すると、長文読解のスピードやその理解度に大きなマイナスとして働く。
語彙力に加え、文法力を徹底的に鍛えることが合格への第一歩である。

英文法に関する教材は非常に多く出ている。
公立高および併願校としての私立高受験なら、定番とも言える『くわしい英文法』(文英堂)あたりで十分だろう。
難関国私立高となると一部高校の内容にも触れたもの、より解説の丁寧なものが必要になるが、

などが参考書として評価が高い本である。
もちろんこの他にも良い本はあるし、これらの本にも一長一短はあるので、どれか一冊を強く勧めようとは思わないが、大切なことはとにかく一冊の本と徹底的に付き合うことだ。

問題集となると、出版物の数はさらに膨大なものとなる。
これは一冊ととことん付き合って終わり、というわけにはいかず、むしろ量をこなすことが大切になるのかもしれない。
とはいえ、一冊の問題集を終えた後は、間違えた問題(必ず印をつけておく)を総復習して次へ進むような丁寧さはほしい。
間違えた文法事項だけを集めたノートを作ってもいいだろう。

1つ注意しなければならないことがある。実際の入試において、文法問題のかなりの部分は長文読解問題の設問に混じって出題されているということだ。
そうした出題形式に慣れるには『全国高校入試問題正解』を使っての総合演習が欠かせないだろう。
難関国私立高の志望者は、そのレベルの学校は数が多くないだけに問題量が不足しがちである。
中1、中2の頃からその年のものを購入しておくと、受験期に3年分の問題ができることになるので便利だ。

C. 長文読解の学習法

長文読解の対策の第一は、とにかく読むスピードを上げることに尽きる。
そのためには、後置修飾、関係代名詞および関係副詞、同格などに関わらず、前から前から意味をとっていく読み方に慣れておく必要がある。
たとえば「ひとつの心配がある。それは、大きな音がクジラや他の動物に困難にさせるのだ。お互いの声を聞き合うことを」―1文で書かれた英文をこのような読み方で理解し、けっして「和訳」をしようとしてはならない。

設問に合わせた戦略的な読み方も大切である。
長文1つに対して設問が10問を超える例は少ない。それなら、あらかじめ設問を見て、文中の傍線部の横に「和訳」「理由」「指示内容」といったような設問の内容を簡単にメモして(自分なりに記号を決めてもいいだろう)から読み始めてはどうだろうか。
メモに要する時間はせいぜい1分程度だ。それで戦略的な読み方ができるのであれば無駄な時間にはなるまい。

傍線の付された問題以外にも、内容に関する設問があるとき、それは部分的な正誤を問うものなのか、全体の要旨を問うものなのかを確認して読み始めるべきであるし、選択肢のポイントをざっと見ておくとさらに効果的である。

普段からこういう読みを心がけ、速く、戦略的な読みの経験値を上げていってほしい。
具体的には、『全国高校入試問題正解』のように、問題文が全文掲載された教材を時間内で解く練習をするべきだ。
さらに英文解釈の問題集を解き、その解説を通じて英文の分析力を上げていけば万全である。

D. リスニングの学習法

リスニング(ヒアリング)の重要性は言うまでもなく、現在ではほぼ全ての高校の入試問題に採用され、配点も大きくなっている。
聴き取ることさえできれば、設問自体は答えやすいものが多い。ぜひ得意分野にしておきたい。

リスニング対策に専用の教材が必要となる。定番の教材としてはまず、

があれば公立高校の出題レベルはクリアできる。英検でいうと5~3級にあたるレベルだ。国私立上位校をめざす場合は、そこに英検準2級のリスニング教材も加えておきたい。

長文読解と同じでリスニングにも十分な経験値が必要だ。中3になってから急いで対策を打つより、中1から使用教科書に合わせたCD、NHK『基礎英語』などを利用して、確実に聴き取る能力を育てるようにしよう。

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