C. 入試に向けた最後の総仕上げを、家庭教師に一任する場合
の具体的なご利用方法について説明いたします。
これから受験をお考えの方、現在の塾通いに疑問や不安をお感じの方はご参考にされてください。
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過去問対策で高まる合格可能性
ほとんどの塾では、新出事項は6年生の7月に終え、夏期講習で総復習、9月からは入試実践演習に入るカリキュラムが採用されています。受験勉強もいよいよ佳境なのですが、その時期に心配になってくるのが志望校別の対策です。
志望校対策、特に過去問対策は、うまくできれば偏差値にして+3~5程度(場合によってはそれ以上)の効果は上がるものです。模試では50%合格ラインに届いていないにもかかわらず合格を勝ち取るお子さんの多くは、過去問対策に成功したお子さんだと言ってもいいでしょう。
それだけ大切な過去問対策に、集団指導塾はどんな対応を取っているのでしょうか。
大手の塾では、二学期になると、特定の中学校名を冠に据えた対策コースが設けられ、日曜日などを利用して集中講座が行われています。そこでは過去問そのもの、その改題、類題が繰り返し演習され、一定の効果を上げているようです。ただし、コースの設置対象となるのは、御三家やそれに準じる上位有名校、その塾(教室)として特に力を入れている学校に限られています。受講資格も厳しく問われ、皆さんが希望通り受講できるわけではありません。受けたいコースの基準に達しない場合は、希望外のコースや、このページの初めの方にも申し上げた「混成のコース」に回されてしまうのです。
家できちんと勉強のできないお子さんなら、そういうコースで実力の底上げを図るのも悪くはないでしょう。しかし、それは塾の平常授業でもやっていることなので、オプションの時間はもっと有効に使いたいものです。
また、塾によっては担当の先生が生徒のやってきた過去問を見てくれる場合があります。しかし、その対応の細かさや丁寧さはまちまちで、つまずいた問題に丁寧な解説を加えてくれたり、個人的に弱点補強をしてくれたりする先生は非常に少ないということが言えます。よく見る例ですが、お子さんが1日かけて作成した「過去問ノート」に、「検印」や「サイン」一つで返答するという神経は理解できませんし、これではとても生徒さんの合格可能性を測ることなどできまいに、と他人事ながら思ってしまうのですが…。
ご家庭で過去問対策をなさるには
さて、塾のフォローが満足に受けられず、ご家庭主導で過去問対策を行う場合はどのように進めていけばいいのでしょうか。
過去問対策の定番ともいえるのが「声の教育社」の「学校別問題集」(あのオレンジ色の問題集)です。過去数年、原則全教科の問題(国語だけは、著作権の関係で問題文がカットされている場合があります)のほか、解答用紙、解答と丁寧な解説が掲載されています。
ご自宅で演習される場合は、まず解答用紙をB4,A4程度に拡大コピーをします。問題のほうもコピー(これは見開きB4でかまいません)してお子さんに渡すといいでしょう。本自体を預けると、お子さんがつい解答を覗いてしまう可能性がありますので
1.制限時間内で実施する(手をつけられなかった問題は後で解く)。
2.解答を見て正誤を確かめ、得点を出す(採点は厳しめに、「ちょっとしたミスだから○」は厳禁)。 得点は日付とともにしっかり記録に残しておく。
3.自分の得点と実際の入試データ(合格者平均や受験者平均)を比較してみる (この際、絶対にお子さんに対してマイナス発言をしない)。
ここまではどのご家庭でも確実に進めていただける内容だと思います。問題はこの後の手順なのですが、
4.最後に間違った問題について解説を読み、正解を確認する(赤字で書き込む) 。
で終わっているお子さんが実際には非常に多く目につきます。そんなお子さんのノートに塾の先生の検印が押されているのですから「何をかいわんや」なのですが、せっかくの「学校別問題集」なのに、「活用した」とはとても言いがたい状態ですね。
過去問の「解き直し」とは、本来次のようなことがなされるべきなのです。
①誤答の内容を分析し、次につながる適切な対策をとる
一口に「間違い」とは言っても、さまざまなタイプがある。原因を突き止め、そのタイプごとに適切な対策を打たなければなりません。
原因が知識不足によるものであれば、その1問の間違いをきっかけに、同分野、同系統の知識を再確認する必要があります。たとえば「ムラサキキャベツの色変化」を忘れていたら、他の指示薬の色変化についても確認しなければなりません。「出雲の阿国」がわからなければ、「桃山文化」だけが怪しいのか、それとも特定の時代に限らず「文化」そのものが不勉強だったのかを明確にしなければなりません。過去問を実施するのは入試も押し迫った時期、そこで覚えてしまわなければもう取り返せないものと思ってください。
次に、考え方、解き方が身についていない場合です。たとえば理科の「星の動き」が苦手なお子さんには、「1時間15度」と「1日1度」、つまり日周運動と年周運動の原理をもう一度基本から説明し、正確な理解を与えてあげなければなりません。そうしなければ永久に同じ分野で点を落とし続けることになります。
過去問演習に入ったら、科目ごとに「弱点補強ノート」を作るといいでしょう。自分に抜けている知識やまだ身についていない解き方、考え方をまとめておくノートです。次回過去問演習や模擬試験の前には必ず見直すようにするとより効果的です。
さらに演習不足という場合もあります。国語の記述問題、算数の「数え上げ」問題などがその典型例になるでしょう。「問い」の文を正確に読みとり、正解に結びつく情報を引き出す能力、それらの情報を整理、活用して正解に結びつける能力は、単にスキルを教えるだけで身につくものではありません。適切なアドバイスを与えつつ、練習を重ねていかなくてはいけません。入試までの時間をにらみつつ、有効な対策を早めにお考えください。
②お子さんに「合う」解説、「伸ばす」解説を心がける
たとえばここに、「面積図」でも「線分図」でも、あるいは「未知数を置いての代数的処理」でも解けるという算数の問題があったとします。どれが最適な解法なのかは、お子さんのキャリアやタイプによって変わってくるものです。キャリアとは、通っていた塾や使っていた教材、習っていた先生などによる違いを言います。またタイプとは、計算問題のミスが多い、論理的思考はできるが直感的判断が苦手だ、といったお子さん個々の得意不得意のことです。そうしたことを無視して「○○の問題は××すれば一発」と決めつけてしまうのはいかにも荒っぽい話です。
さて過去問題集に掲載されている解答ですが、これもまた、数ある「解答例」の一つで、決して絶対的な解法ではないと思うようにしてください。それを唯一無二のものとして押しつけるのは、時にお子さんを混乱させることにもなります。まずはお子さんの考えた道筋や過程をよくチェックした上で、それをできる限り生かすのか、それとも一から新しく教え直すのかを判断してください。
似たようなことが国語にも言えます。そもそも国語は、選択肢や抜き出しといった客観問題の解答でさえ本によって違うことのある科目です。ましてや記述問題の解答例となると、(学校発表の解答がそのまま掲載されている場合は別ですが)有名な問題集に掲載されているからといって、決して鵜呑みにはできないものなのです。
解説を始める前にまず模範解答を読んで、この作成者は出題者の意図をどう理解し、本文のどこに着目してこうした解答を導き出したのかを探ります。それが納得のいくものであれば(学校発表の解答の場合は納得がいかなくても)、お子さんの書いた解答と引き比べて抜けている要素をあぶり出し、その部分がないとなぜ説明不足になるのかを一緒に考えてあげます。解答例通りに頭から教え込もうとすると、お子さんはそこで考えることをやめてしまいます。
過去問演習の効果を最大限活かすには家庭教師が一番
ここまで過去問実施後のフォローの大切さについてお話ししましたが、こうしたことを丁寧にやっていくには、1教科につき1時間程度の時間が必要になります。過去問の実施時間(4教科で200分程度)や関連事項のまとめ、弱点分野の補強などにかかる時間も考えると、過去問演習は時間のかかる大仕事になってしまいます。そして受ける学校は1校だけではなく、第2志望、第3志望の学校対策も考えなければならないのです。
にもかかわらず塾では、週末にはオプション講座、弱点補強の最後のチャンスになる冬休みも朝から晩までの冬期講習、おまけに正月も塾…「こんなにたくさんの授業を受けなければ合格できないものなのか」とため息をつきたくなるほどのハードスケジュールを要求してきます。まさに量で質をカバーしようというわけです。「冬休みにやろうと思っていたことがたくさんあったのに、結局何もできなかった」そうした悔いを残さないためにも、学習計画はご家庭主導、お子さん本位で立てられなければならないのです。そうなったときに頼りになるのがプロ家庭教師の存在です。合格に向けてのノウハウを数多く持っている先生たちですから、期間が限られれば限られるほど、「質より量」で押し切ろうとする塾の指導との差は際立ってきます。
10月の模試が終わる頃になると、私たちは志望校対策や弱点の補強をどうすればいいのか、というご相談が増えてきます。それがきっかけで残り数ヶ月の学習をほぼ全面的にお任せいただき、志望校合格に結びつけた例は枚挙に暇がありません。「もう間に合わないのではないか」という杞憂は無用です。
「家庭教師完全指導コース」は、実力派の家庭教師が揃っている当会だからこそお勧めできるコースです。
これから受験をお考えの方、不安や違和感を覚えつつ不本意な塾通いを続けられている方、そして塾にプラスアルファは、お子さんの学年、現在お通いの塾やそのクラスに関わらずご相談ください。