B. 受験勉強途中のある時期に塾をやめ、その後の学習サポートを家庭教師中心に切り替える場合
の具体的なご利用方法について説明いたします。
これから受験をお考えの方、現在の塾通いに疑問や不安をお感じの方はご参考にされてください。
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真面目に努力しているのに成績が伸びないのは塾の責任です
ずっと塾通いを続けていたお子さんが家庭教師のみの指導に限定する理由の中で一番多いのは、「成績が伸びない」というものです。さらに細かく見ていくと、「きちんと勉強しているのに成績が伸びない」という場合と、「勉強の習慣そのものが根づいていない」という場合に分かれます。
前者のお子さんについては、これはひとえに塾の責任によるものだということができます。その塾のカリキュラムに則って、担当の先生から指示された通りにやっているのに、受験生の中での位置がどんどん下降していく・・・・・・その原因はカリキュラムに問題があるか、担当の先生が適切な指示を怠っているか、あるいはその指示が間違っているかのどれかです。もしかりに、お子さんやご両親のやり方に間違いがあったとしても、それを発見できず、正してあげられなかったのは、担当教師の力不足です。
ですが、このタイプのお子さんならきっとやり直すことができます。プロの家庭教師がついて、それまでやってきたことを総チェックし、改善すべき所を直していくだけで状況はずいぶん変わってくるはずです。心配要素は受験までの時間だけです。学年が上がれば上がるほど家庭教師の効果が現れるのにも時間がかかるようになりますから、早い時期での決断をおすすめいたします。
一方後者のお子さんのケースは、厳しい言い方になりますが、これでは成績が下がって当然だといわざるを得ません。中学入試への道のりは、ある意味では「ふるい落とし」の過程であり、自分の中の「弱さ」を克服する競争でもあります。低学年のうちならいざ知らず、5年生の後半、6年生になっても習慣的な学習ができていないお子さんは、トラック競技でいえば「周回遅れ」に近い状態になっているのです。
とはいえ、そういうお子さんに対して塾側がどれだけの工夫や努力をしたのか、ということは大いに問われる部分だと思います。在籍数(利益)至上主義で、生徒さん(お客様)は減らしたくないのに、それを防ぐ根本的な工夫や努力がなおざりになっている塾は意外と多いものです。
このようなことが最近ありました。あるお子さんがいよいよ塾から家庭教師に変更するという段になって、塾側から猛烈な引止めがかかるようになりました。最初は「この情熱で子供に向かってくれればよかったのに」などと笑っておられたお母様も、あまりのしつこさにとうとう折れて、授業には出ないが在籍は残し、本科授業の料金だけは払い続けることにしてようやく電話攻勢から逃れたそうです。もう6年生の後半になっていたお子さんですが、その後は家庭教師との二人三脚で頑張り、塾に勧められていた学校よりずっと上位のA中学に合格されました。それでも担当した家庭教師は言います。
「最初に授業した時、お子さんから受ける印象とテストの成績とのギャップにまず驚きました。この子がなぜこれしか取れないのだろうということです。素質的にはもっと上の学校も目指せるお子さんでしたが、時間的な制約もあり、A中学にまでしか届かなかったのが残念です」
話を戻しましょう。お子さんを放置していた塾を責めたからといって、失われた時間が戻ってくるわけではありません。前向きに何かを変えていくしかないですし、何かを変えようと思ったら、もう家庭教師を利用するしか選択肢はないものと思われます。
その際は、お子さんはもちろん、ご両親にも「これが最後だ」という覚悟を決めていただかなければなりません。指導内容が定着し、それが得点の形に表れるには一定の時間が必要になります。まさに残り時間との闘いで、不安や焦りで眠れないときもあると思います。それらをぐっと呑みこんで、お子さんを励まし続けて下さい。切羽詰った状況がかえってお子さんの本気とやる気を引き出し、志望校合格にこぎつけたという例は数え切れないほどあります。決してあきらめることはありません。
いつのまにか塾に振り回されていませんか?
「塾を辞めようかどうか迷っている」というご相談をいただいてお宅に伺ってみると「塾に振り回されている」としか思えないケースが多いことに驚きます。
- とにかく宿題が多くて、個人的な復習やテストの解き直しをする時間がとれない。
- 平常授業にすら満足についていけないのに、追加の講座をどんどん案内される。
- 「授業が分からない」と相談しても、「大丈夫です」の一点張りで埒が明かない。
- 過去問を進める時間がない。他の授業をやめて時間を作ろうとしたが、認めてもらえない。
- 随分多くの教材を買わされたが、その後使用法の指示がまったくない。
このような言葉とともにため息をつかれるお母様方の前には、手つかずの教材や問題集、いつか解き直すつもりで付箋を貼ったままのテキストやプリント、模試の答案などが山積みになっています。私たちが必要なものとそうでないものに分け、重要度に応じて実施の優先順位をつけて差し上げると、「本当にそれだけで大丈夫なんですか」と今度は不安そうに仰られます。「何もかもやらなければならない」という塾の呪縛がいかに強いかを思い知らされる瞬間です。
たとえば単科講座や土日の講座などがお子さんにとって負担になっている場合は、きっぱりお辞めになるか一定期間お休みするべきです。GWなどの短期講習、合宿授業なども同じです。近頃の塾は良くも悪くも営利企業化してしまい、在籍数、退会率、季節講習や特別講座の参加率、合宿等有料イベントへの誘導率・・・そういうもので頭がいっぱいになっている先生も多いようですが、彼らの営業ペースに巻き込まれてはいけません。
また、異常に宿題が多い塾も考えものです。お子さんのクラスの担当の先生は算・国・理・社の4人いるのが普通ですが、その4人が張り合うように宿題を出したとしたらお子さんはどうなるでしょうか?
- にっちもさっちもいかなくなり、勉強が嫌になる。
- 自分の苦手はともかく、まず怖い先生の宿題からやるという悪い習慣がつく。
- 宿題をこなすことだけが目標となった結果、「真面目に机に向かっているのに成績が上がらない」、「復習テストはいいのに、実力テストになると成績が一気に下がる」という状態に陥ってしまう。
宿題というものは、お子さん個々の状況に応じて必要なものを必要なだけ与えるのが正しい出し方です。その意味では宿題を出しすぎる先生は宿題が少ない先生よりたちが悪いのかもしれません。そしてもう一つ、与えた課題は責任もってチェックするのが筋だと思うのですが、それが杜撰になっているケースが多く見受けられるのは残念でなりません。
そういった事に対し塾への指摘を行っても、根拠のない「大丈夫です」が繰り返されるか、一時的な対応が行われる程度のものだと思います。
塾で「お客様」扱いされるより、「オンリー・ワン」で見てくれる家庭教師に
営利企業化した塾、という観点で言えば、気になるのはお子さんの成績や志望校による「扱いの違い」です。たとえば、合格実績をたたき出す上位クラスはベテランで実績のある教師で固め、本当は一番手厚いフォローが必要な基礎クラスに、アルバイト講師やまだ「修行中」の若葉マーク教師を充てているようなケースです。聞くところによると、自塾の合格実績の数字を伸ばすために、無料指導など過剰なサービスで他塾の優秀な生徒を招きいれようとしている塾もあるようですが、そのサービスにかかる費用の原資はどこから出ているのでしょう。
そんなことを考えていくと、一部の優秀なお子さん、塾の宣伝塔になりうるお子さん以外の塾生は、ただ月謝を払うだけの「お客様」にされているのではないか、という疑問さえ浮かんできます。
私たちは、偏差値がどうであれ、志望校がどうであれ、お預かりしたすべてのお子さんに最高の中学受験を経験していただくことをモットーにしております。それは所属する家庭教師の総意でもあります。プロ家庭教師を専業としている先生の多くは、今まで述べてきたような集団塾の限界を悟り、より手厚いお子さんの指導、「オンリー・ワン」の指導をめざして転身した方々です。悩みつつ塾通いを続けるより、思い切って先生たちの経験と技術、情熱に賭けてみてはいかがでしょうか。