早稲田アカデミー生が陥りやすい「安心」という罠

この章に関しては、「早稲田アカデミーで勝ち抜くために」というより「早稲田アカデミーで失敗しないために」とタイトルを打ち替えた方がいいかもしれません。
少々厳しい表現も致しますが、お子さんの現状に、あるいはこの先の見通しに不安のある方には是非お読みいただきたいと思います

早稲アカ生は「直前」に焦る

早稲アカの生徒さんのご家庭から当会へのお問い合わせは、他塾にお通いの方と比べると総じて遅い傾向があります。
具体的に申し上げると、受験までの時間も残り少なくなった小6夏以降のお問い合わせが非常に多いのです。
一般にお問い合わせが多いのは、お子さんが小3から小4に上がるとき(受験勉強が実質的にスタートする時期)や、小5の夏以降(受験勉強が本格化する時期)であるのに対し、早稲アカ生からの新規お問い合わせは、小6の夏を過ぎてから一気に増え始め、それは受験直前の12月まで続きます。
なぜそうなるのか、実際にご家庭から伺った話を基に理由を考えてみましょう。

① 早稲アカの先生になかなか成績が伸びない旨を相談しても、その都度「大丈夫です」と繰り返されるばかり。いまだに何が問題で、何をすればいいのかわからない

② お子さんは早稲アカが大好き、授業のない日でも嬉々として自習室に通い質問もよくしているようなので特別のフォローはいらないと思っていた。

③ 早稲アカは授業日数が多くて、宿題の量も多い。講習は一日中拘束されるし、夏期合宿も半ば強制的に行かされた。お子さんの理解度には前から不安があったが、前記の理由で他のことを試してみる時間が取れなかった

塾の言う「大丈夫」は半信半疑で受け止めるべき

まず①について、これは早稲アカに限ったことではありませんが、塾の先生の「大丈夫」には、

  1. データの十分な裏打ちがあり「確実に」大丈夫である場合。
  2. ある程度ベテランの先生が経験的に見て「たぶん」大丈夫である場合。
  3. 「大丈夫」と文句を音声にしてみることで、親御さんにではなく、先生が「自己暗示」をかけている場合。
    (「願望的大丈夫」あるいは「言霊信仰的大丈夫」)
  4. 大丈夫だと言わなければ退会等につながりそうなのでそう「言わざるを得ない」場合。
    (「営業的大丈夫」あるいは「自己保身的大丈夫」)

大きく分けてこの4種類があります。
A、Bであれば問題はないのですが、もしC、Dであった場合、それこそ生徒やご家庭に対して無責任極まりない話だと言わざるをえません。
また、「男の子はいずれ伸びます」「2学期になれば目の色が変わります」といった希望的観測だけで安心させようとする預言者先生にも要注意です。
先生の言っていることは「傾向的にそういう場合が多かった」というだけのことですし、そもそも「伸びた」お子さんだって、その時期が来るまでただ手をこまねいて待っていたわけでもありますまい(笑)

その手の先生からは有効なアドバイスなどいただけるはずはないので、保護者の方が主導して独自に遅れを取り戻す施策をとらなければなりません。

特に2020年はコロナの影響で早稲田アカデミーに限らず、大手進学塾さんや個人塾さんも含めWEBを使用したオンライン授業を取り入れているが故に弱点を見つけにくくなってしまっている状況が垣間見えます
どこが弱点で、その弱点をカバーするには何をすればいいのか、別の専門家のアドバイスを元に学習方法を根本から改めるべきです

「塾に楽しく行く=勉強がうまく進んでいる」ではない

次に②ですが、自習室に「行く」こと自体には何の意味もありません。
大事なのはそこで何を勉強してきたかです。
お子さんが自習室でやろうとしていること、やってきたことを、決して詰問口調にならないよう気をつけながら確認してください。
よくあることですが、自習室を子ども同士の社交場やお母さんからの逃げ場にしてはいけません。
「先生に自習室に来るように言われた」とお子さんが言う場合は、ご面倒でも先生に連絡を取り、そこで何をやらせたいのか、明確な理由を尋ねてみるようにしてください。

もちろん、極端に勉強嫌いで、受験にも前向きになれないお子さんの場合、自習室通いが最低限のモチベーションになっているという可能性はあります。
といって、勉強嫌いのお子さんを親御さんの目の届かないところに送りこむわけですから、そこでするべきことについては塾側の明確な指示・確認がほしいものです。

弱点に気付いても対策する時間がない

最後に③の場合です。
早稲アカは基本週3日の本科授業があり、オプション(とは言っても実際はかなり強く勧められることも多いようです)の「YT授業」及び「NN志望校別特訓」や「土曜特訓」等をとっているお子さんは土日もほぼつぶれるというスケジュールになります。
そしてよく言われるように宿題が多い。
他の勉強に割く時間はほとんどありません。

普段はカリキュラムについていくことが大切ですから、まあそれでも仕方がないのかもしれません。
それならば学校が休みの時期に何とかしようと思っても、早稲アカ生にはそれが難しいのです。
春期講習、夏期講習、冬期講習、正月特訓、どれをとっても長期間・長時間で宿題もたくさん出ます。
そして夏には、あの有名な合宿特訓が…。
「頑張る力が身につく」なんて抽象的な効果より、ずっと苦手なままだった「旅人算」や「流水算」、「電流と発熱」や「月と星の動き」を克服するまたとないチャンスだったのに…と嘆いてもそれは後の祭りです。

さらに、2学期の追い込み時期に休みの日や空き時間を利用して無料補講を打ってくれる先生もいます。
先生は1教科しか教えられませんから毎週同じ科目の補講が続きます。
お母様が「休んで苦手の〇〇をやったら」と声を掛けても、「行かないと先生の機嫌が悪くなるからから」というのがお子さんの返事です。
この時期大切なのは「熱血無料補講」ではなく、客観的なデータに基づく個々の弱点補強メニューなのではありませんか? 
「めんどうみ」が「おせっかい」や「空回り」、さらに言えば「自己満足」に近いものになってしまった例ですね。
お子さん1人1人に必要なフォローを、効果的にスケジューリングできる先生はいなかったのでしょうか。

大手塾の集団指導には「生徒個々の理解度の差」という問題が常につきまとっています。
これは早稲アカに限らず、SAPIXでも、四谷の直営校でも、日能研でも皆そうです。
そしてその差はクラスが下がるにつれて大きくなっていくのが普通です。
教務面での「めんどうみ」とはその差を少しでも縮めるために行われるものであって、特に下位クラスに手厚くなるべきものです。
そして集団授業とは180度角度を変えた「個」の視点が大切にされなければなりません

プロ家庭教師がお子様の学習効果を上げられる理由。

個別指導塾では打ち克てない

「個」の視点という話をしますと、個別指導塾の存在を思い浮かべられた方も少なくないと思いますが、個別指導塾の「指導」は「順境型」であって「逆境型」ではないというのが結論です。
普段の塾の復習やテスト対策くらいなら、いい先生に当たればある程度は可能でしょう。
しかし、本格的な受験指導のできる先生、まして成績の伸び悩んでいるお子さんを数か月で生まれ変わらせる能力を持つ先生が個別指導塾にどれほどいると思われますか?
1教室に1人、いいえ、数教室に1人いればいい方でしょう。
本当に指導力がある先生は、ペイの水準が低い個別指導塾にはまず行かない、というのが受験界の常識です。

気づいたときは手遅れ

本題に帰り、入試直前になって焦りだす受験生が早稲アカに多い理由をまとめてみましょう。
なまじ塾の「めんどうみ」が良いために漠然とした信頼心や期待感が生まれ、それらはいつしか根拠なき安心感に変わり…そうしているうちに5年生が終わり、夏の合宿が終わり…上がるはずのクラスは上がらず(お子さんによっては希望していたNNも受けられず)、「合不合テスト」の判定は志望校の合格ラインからほど遠く…そのような状況になって初めて「個」に即したフォローの必要性に気付く方が多いということなのでしょう。
皮肉な話ですが、SAPIXや四谷の方が比較的早い時期から家庭教師を利用されるのは、最初から塾に「めんどうみ」の期待を抱いていないからなのかもしれません。

6年生の秋以降、当会にお問い合わせの皆様が決まっておっしゃるのは、「今からでも(受験に)間に合いますか?」という一言。
もちろん、私たちは「間に合います」とお答えします
家庭教師による短期間の集中学習で成果を上げ、「逆転合格」を勝ち取るお子さんが例年何人もいらっしゃるからです。
しかし、すべてがそういうお子さんがでないことはお分かり頂けると思います。
中学受験はそんなに甘いものではありません。時間不足が最後まで響いてしまったお子さんは当然いらっしゃいますし、早稲アカのお子さんにはその割合が多かったことは否定できません(逆にその割合が低いのはSAPIX生です)。

「お客さん」ではないですか?

最後にもう一つ、多くの早稲アカ生やその保護者の方から伺った話をご紹介します。

「早稲アカでは上位の子のめんどうはみるが、下位の子はほったらかしだ」
「先生は他塾から来ているNN生には添削など丁寧にしてあげるのに、校舎の内部生は過去問もろくに見てくれない」

決して少数の声ではありませんから、根も葉もないうわさとは言えないと思います。
似たような話は他の塾にもありますが、耳に届く頻度は早稲アカに遠く及びません。いったいなぜ、このようなことが起きているのでしょうか。

これは想像の域を出ませんが、HPや車内広告でおなじみのあの「上向き矢印」が象徴するように、早稲アカの元々の企業戦略は、「実績第一主義=有名校の合格者を増やすことでより多くの客を集めること」のようです。
その会社のサラリーマンである先生たちが「実績になる生徒」を優遇したくなるのは当然の心理なのかもしれません。

実際に教えてみるとよくわかりますが、例えば偏差値45の早稲アカ生と偏差値38のSAPIX生を比べてみると、実戦的な学力=合格力を備えているのはほぼ間違いなくSAPIX生の方です。
早稲アカにも力のある受験生はたくさんいますが、こと中位以下の生徒に関しては「きちんと鍛えられていない」という感じを強く受けます。

そもそも早稲アカは入会基準も非常に緩やかで、本格的に中学受験をするとなるとかなり苦労しそうなお子さんでも塾生として取り込んでいます。
そういう拡大主義をとるのであれば、お預かりしたお子さんのすべてを誠実に指導し、先に挙げたような不満が生まれないよう努めるのが、いやしくも子ども相手の事業を行う者としての最低の義務だと思うのですが、いかがでしょうか。


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