サピックスオープンの種類
サピックスオープンとは、サピックスで実施される公開模試のことです。
学年や時期により名称が異なっていて、詳しくは以下の表のようになっています。
学 年 | 時 期 | |
実力診断サピックスオープン | 3・4・5年生 | 10月(3年生・4年生) 5月(5年生) |
志望校診断サピックスオープン | 5年生 | 計2回(9月・11月) |
志望校判定サピックスオープン | 6年生 | 計2回(4月・6月) |
合格力判定サピックスオープン | 6年生 | 計4回(9月〜12月) |
学校別サピックスオープン | 6年生 | 9月〜11月 |
どのテストも完全な実力テストで、範囲指定はありません。
出題形式はテストによって違いますが、ほとんどの場合、復習確認を目的とするマンスリー系のテストより問題が難しくなっています。
[A]5年生までのテスト対策
実力診断サピックスオープン
実力診断サピックスオープンは、「柔軟な思考力・論理力を中心とした総合的な学力を試すテスト」だと定義されています。
学習内容の定着度を確認するテストではありませんから、どういう範囲がどのような形式で出題されるかは「開けてみてのお楽しみ」ということになります。
普段から確実に復習をこなし、到達度テスト、マンスリーテスト、組分けテストもきちんと対策を打ってから臨んでいるようなお子さんなら、このテストの対策に多くの時間を割く必要はありません。
かえってオーバーペースの原因にもなります。
ただ、日頃「ちょっと勉強が足りないかな」と思われるお子さんには、やんわりとしたプレッシャーをかけて机に向かう時間を多くしスケジュールをたててあげるのもいいことだと思います。
といって、明確な範囲があるわけではありませんから、3年生なら算数の、4年生なら算・理・社の「学年の始めからここまでに習った範囲で苦手なところ」を復習しておくことになります。
実際の得点にはあまり結びつかない可能性が高いのですが、それをお子さんに言う必要はありません。
そして、お子さんにそれなりの頑張りが見られたら、何らかの方法で必ず評価してあげてください。
できれば結果の出る前がいいでしょう。
この先の長い受験への道のりを考え、「お父さんお母さんはあなたの努力を見ている」ということを伝えてあげるべきです。
さて、返ってきた成績が普段のテストより低かったときはショックなものです。
なまじ前述のような定義がされていると、「うちの子には柔軟な思考力や論理力や総合的な学力がないのか」と嘆きたくもなってしまいます。
もちろん、そんなことは一回のテストでは分からないのですが、普段の学習を考え直すよい機会にはなります。
「論理力が育たないのは読書が足りないからではないか」「勉強が詰め込みになっていて、深く、柔らかく考える機会が少なくなっているのではないか」そして思いついたことがあれば速やかに実行してみましょう。
先へ行けば行くほど試行錯誤できる余裕は少なくなります。
たとえばこの時期、「まだ早いかな」とは思いながらも家庭教師をつけてみたら、お子さんが勉強を嫌がらなくなった、視野が広がって自然や社会に興味を持つようになったというご報告をいただいたことがあります。
そのご家庭とは受験終了までのお付き合いとなったのですが、やはりきっかけはこの実力診断サピックスオープンでした。
志望校診断サピックスオープン
サピックスでは、中学入試の問題をAタイプ(基礎力・問題処理能力重視)、Bタイプ(思考力・記述力重視)の2つのタイプに大別して考えています。
その上で、生徒個々の問題適性を診断するためのテスト、というのがこの志望校診断サピックスオープンの位置づけです。
タイプ別適性を見るといっても、6年生の志望校判定オープンのように、テスト用紙自体がA、Bに分かれているわけではありません。
一種類のテストの中にAタイプ問題とBタイプ問題が入り混じって出題され、合格可能性の判定を行うときに、志望校のタイプ(Aタイプ、Bタイプ、またはA+Bタイプ)に合わせて得点の比重を変えているようです。
志望校は10校選べ、それぞれに合格可能性の判定が出されます。
問題のレベルは高く、平均点は50%に届かないのが普通です。
志望校がすでに固まっているご家庭と、これから決めていくご家庭では、このテストを受ける意味合いが全く変わってきます。
すでに固まっている場合は、その志望校の入試問題が求める力と、自分が今身につけている力の質的相違を確認することが大切になります。
力の量的側面、つまり「足りる、足りない」の話ではありません。
自分の勉強している方向が正しく志望校の方角を指しているかどうかの確認です。
たとえば学習院女子をめざすお子さんが国語の記述を苦手にしていたり、慶應系をめざすお子さんが算数のAタイプの問題をぽろぽろ落としていたりするのは明らかに不利ですから、できるだけ早く手を打つべきだと思われます。
一方これから志望校を決めていく場合は、まず、科目間やABタイプ間のバランスを意識するようにしましょう。
この先どの方向に進むかはまだわからないわけですから、できるだけ弱点を作らない学習を心がけていくべきなのです。
これが6年生の夏過ぎの話であれば、お子さんのタイプを優先的に考えて志望校を決めるという考え方もあるでしょう。
しかし、まだ5年生の秋です。
今後の選択の幅を広くとっておけるように、バランスよい力を蓄えることを重視してください。
このテストは完全な実力テストですから、短期集中型のテスト対策をしたからといってその効果は望み薄です。
ただ、第一回の実施が9月であることを考えると、夏休みを利用して長期的な計画が立てられるはずです。
5年生の夏というのは、サピックス生としてこのままやっていけるかどうかの岐路に立たされる時期でもありますから、もし、それまでの学習に疑問や不安があれば、ぜひ一度、受験のプロの意見を聞く機会を設けてみてください。
[B]6年生二学期のテスト
いずれもサピックス生以外の受験生に広く門戸を開いた公開テストです。
受験会場も実際の中学校が選べますから、より本番に近い気分を味わうことができます。
これらのテストの行われる時期には、ほとんどのお子さんがご自分の志望校対策に入り、計画的に過去問を解きはじめているものと思われます。
日曜日にはSS特訓がありますし、個人的な弱点補強に割く時間も必要です。
とてもテスト前の対策をしている時間はないでしょう。
それでもテスト後には何とか時間を作り、徹底した復習をしておかなければなりません。
この時期のテストに出た問題がもし入試本番に出た場合、その問題を復習していたかどうかが大きな差となるからです。
当社の家庭教師を利用されているご家庭でも、マンスリーテストの場合はテスト前の補習を希望される方が多いのに対し、これらのテストの場合は復習のための追加授業を希望される方が多くなっています。
合格力判定サピックスオープン
「知識力」「解法力」「問題処理能力」を問うことを目的とするテストです。
上位校をねらう上での基礎力確認といったところでしょうか。
確かにサピックスのテストとしては難易度が低めで、たとえば算数の平均点が150点中100点を超えることもあります。
平均点が高くなると、全体の得点分布は上に偏るのが普通です。
上位の偏差値が伸びにくくなる反面、失敗した科目があればそれが大きく足を引っ張ることにもなります。
「模擬」のテストとはいえ、普段より成績が下がるのは気分のよくないものですし、そんなことでお子さんのモチベーションが下がってはかえって重大事です。
とにかくミスをしないようにしましょう。
普段ミスの多いお子さんには、注意事項を箇条書きにして部屋に張るなど工夫をしてみてください。
冗談ではなく、食事前の「いただきます」の代わりに注意事項を復唱させてテスト中の確認を習慣化させたというご家庭もあったそうです。
平均点が高い分、間違えた問題数は少ないはずです。
完璧に近い解き直しをしておきましょう。
学校別サピックスオープン
完全に学校別の傾向、形式に合わせて作成された問題で、志望校への合格可能性を測ります。
入試の予想問題にもなっていて、実際その予想が当たることも少なくないようです。
テストの対象になるのは、2014年の場合、筑駒・開成・麻布・駒場東邦・武蔵・慶應3校・早稲田3校・栄光・聖光・灘・桜蔭・女子学院・豊島岡・雙葉・フェリス・渋谷幕張・渋谷渋谷の各校で、ほとんどの学校は9月と11月に2回テストが行われます。
また、午前午後に分けて同じ日に別の2校を受験することもできます。
学校別オープンの受験者はそのまま入試本番でのライバルになると考えていいでしょう。
もしこのテストと同じ問題やその類題が本番の試験に出題されたら、きちんと復習してあった子とそうでない子の間には大きな差がつくことになります。
そしてその差は合否に直結する可能性すらあるのです。
この学校別サピックスオープンを完璧に解き直すことは合格を勝ち取るための絶対条件だとお考えください。
特に1問の配点が大きい算数は念にも念を入れた復習をしなければなりません。
国語の漢字や社会科の用語のように「知っているかどうか(きちん表記できるかどうか)」だけで点が分かれてしまうものは、配点は少なくてもそれか確実な差として現れてきます。
これまた決しておろそかにはできません。