難しくなる学習内容の取り組み方
4年生は低学年から高学年へと移行する学年です。
これから難しくなっていく学習内容に対して取り組み方を学んでいく時期です。
それに伴って授業の回数が週2回になること、テストの科目が2科から4科に増えることなどで、お子さんが負担感を覚えはじめる時期でもあります。
この学年の取り組み方や心構えについて、いくつかご紹介していきたいと思います。
学習習慣を身につける
塾に通っている時間だけで学習が完結するということはありません。
「復習主義」と謳われるサピックスでは特に家庭学習が重要になってくるのですが、お子さんは家庭学習の習慣をきちんと身につけているでしょうか?
もし、気分次第だったり、机に向かっても集中できていない様子であったりすれば、今はまず家庭学習の習慣を定着させることを第一に考えてください。
そのためには、一週間の学習スケジュールをまず作ってあげることです。
最初はゆったりとした枠組みのものでかまいません。
お子さんの意見も取り入れながら、より効果的なものに作り変えていきます。
計画的な学習こそ、この先ますます厳しくなるサピックスのカリキュラムを乗り切るためには、絶対に必要なことなのです。
前向きな姿勢を引き出す
初めのうちは、学習内容についても大部分サポートしてあげることが必要になると思います。
特に4年生から始まる理科や社会は、デイリーサピックスの読み合わせや知識の確認も一緒にやってあげましょう。
その際にも、よい意味でのゲーム感覚を取りこんだり、知的興味を刺激したりすることを通じて、お子さん自身が勉強に前向きになるような環境作りを心がけてみてください。
それがうまくいきはじめたら、今度は少しずつ、お子さんが一人でできることを増やしていくようにします。
いつまでもご両親べったりではいけません。
といって、お子さんだけの力でサピックスについていくのは不可能です。
まず基礎トレを、次にはデイリーチェックを、というふうに頃合いを見ながらハードルを上げていきましょう。
「待つ」ことも大切
少々乱暴な分類ですが算数の問題には、
「自力で解ける問題」
「ヒントがあれば正解にたどり着ける問題」
「歯が立たない問題」
の3グループがあります。
復習の中心に置くのは、当然「ヒントがあれば正解にたどり着ける問題」のグループです。
「ヒントがあれば正解にたどり着ける 」ということは、現時点での理解がまだ浅く、外部から何らかの助けを必要としている、たとえていえば、補助輪つきの自転車に乗っているようなものです。
それが自力で解けるようになるには、まず演習問題を繰り返し解き、解法パターンを完璧に習得しなければなりません。
その際、ただの丸暗記では意味がありません。
式や図の意味を自分で考え、自分で説明ができるようにします。
パターンを習得できたら、今度は同じ範囲の少し高いレベルの問題に挑戦してみます。
パターンだけでは押し切れないところに突き当たるはずです。
そこで条件がどう変わったのか、どんな要素が追加された、あるいは隠されたのかを考えます。
こうすることによって応用力が育ちます。
時間を惜しんで次の手順をまるごと教えてしまうような指導では、せっかくの伸びるチャンスが失われてしまいます。
「そこは2で割るんだったでしょ」こういう言葉はヒントではなく、単なる「誘導」に過ぎません。
厳しい言い方をすれば、このような「誘導」は、サポートする側の楽になりたい気持ちが言わせる一種の逃げ口上のようなものなのです。
お子さんが思いつくまで、考えがまとまるまで、そしてそれが言葉になるまで、じっくり待ってあげてください。
育つための時間が4年生にはまだたくさんあるのですから。
基本的なことをきちんとやらせる
待っていてはいけないものもあります。
4年生は受験生としての基礎を作る学年ですから、国語なら漢字の読み書き、算数なら計算力といった教科の根本部分は徹底して鍛えておかなければなりません。
漢字はデイリーサピックスAの内容で十分です。
マス目の入った漢字練習帳に、大きく、正しく書く練習をしてください。
わずかな間違いがあっても必ず書き直しをします。
目で確認しただけで済ませていると、また同じ間違いをします。
計算は市販の問題集のほうがやりやすいかもしれません。
スピードと正確さを同時に身につけることが大切ですから、時間は区切って実施しましょう。
やる時間を決めて、毎日10問程度の量を続けていくのが理想です。
漢字や計算は前項でふれた「お子さんが一人でできること」の部類に入るとは思いますが、チェックは厳しくお願いします。
雑なところがあれば必ずやり直しをさせてください。
「わかるからいいよ」とお子さんが言っても、これだけは決して妥協しないでください。
現在の位置が絶対ではない
「4年生まではαクラスだったのに」そういう嘆きを6年生のご両親からお聞きしたことがあります。
低学年から学習が順調に来て、特に問題点を意識することなく上位クラスに在籍しているうちに、いつのまにか見えない壁に当たってしまったというのです。
その原因の一つとして考えられるのは、勉強が力技になっていたのではないかということです。
解いているうちに最後は答えが出てしまうので、やり方が自己流になっていたのを見過ごしてしまった可能性があります。
もう一つの原因は、もともと理解が早いため、授業内ですべて「わかった」つもりになって、知らず知らずのうちに家庭での復習がおろそかになっていたというケースです。
学年が上がるにつれて、サピックスのテストで要求されることは増えてきます。
デイリーサピックスに書いてあることを全部暗記しても、デイリーサポートの問題をすべて解けるようにしても、それだけでは上位クラスを維持できなくなるときがやがて来るのです。
今できているからそれでよし、ではなく、正しい学習法をしているか、正確な知識に加えて、自分で「考える力」は身についているか、そのあたりのチェックを常に怠らないようにしましょう。
一方、今は成績が低迷して、「やはりこの子に受験は厳しいのではないか」「サピックスに入れたのは間違いではなかったか」などと悩まれている方も多くいらっしゃると思います。
そういう場合でも決して悲観的にならず、ただ、「今こうであってほしいこと」を「将来こうなってほしいこと」に置き換える発想の転換をしてください。
4年生で成績が低迷する理由のかなりの部分は、お子さんの「大人度」が足りないことによるものです。
放置してはまずいですが、根気よく対応しているうちに「時」が解決してくれることも多いのです。
基礎トレやデイリーサピックスの基本的な問題を、傍にご家族がついてじっくりこなしましょう。
文章題なら、「今日の1題」を決めてそれだけをマスターする、でもいいと思います。
国語の教材を一緒に読み解いてあげるのもいいでしょう。
何もかもが不安なときに、一歩引いて基礎固めだけを徹底するのは勇気が要るものです。
しかし、正しい道さえ歩いていれば、今は後れをとっていてもいつか追いつく可能性があるのです。
■SAPIX小学部4年生参考
サピックス4年生のカリキュラム
4年生の家庭教師利用法
私ども代々木進学会では、常に会員の方々とのコンタクトをさせていただき、生の声をうかがっています。
その中からいくつかのご家庭からのお声を紹介させていただきます。
いずれも4年生からご利用されていたご家庭でした。
- サピックスは初めてだったので、とにかく何もかもやらせようとして親子共々一杯いっぱいになっていた。
ベテランの家庭教師のアドバイスによって「必要なことを必要なだけ」できるようになり、成績が上がっただけでなく、精神的にもゆとりが生まれた。 - 親が教えようとすると嫌がるようになったので家庭教師を頼んだ。
明るい先生で前向きに引っ張っていってくれるので子どもにもやる気が生まれてきた。 - 途中入会でサピックスについていくのが不安だったが、家庭教師がやるべきことの優先度をつけてくれたので無駄のない学習ができたし、まもなく追いつくこともできた。
- 中学受験はもちろん、サピックスのことにも詳しい家庭教師だったので、常に先々を見ながら有利に進められたことが多かった。
- 家庭教師が読むべき本を紹介してくれたり、自然や社会のことについてわかりやすく説明してくれたりして、子どもがずいぶん大人になったような気がした。
皆様のお声の中には、家庭教師を利用されるメリットがよく表れています。
4年生で家庭教師をつけるのはまだ早いとお考えの方も多いかと思いますが、家庭教師は受験前の追い込みや下がった成績を何とかするためなど、対症療法的にだけ利用するものではありません。