恵泉女学園中学校の学校説明会に出席してきました。
「聖書」「国際」「園芸」「芸術」を教育の柱にし、自分の生き方について自分で考えられる女性を育てる学校です。
教育内容はもちろん、2024・2025中学入試についてもご紹介いたします。ぜひご覧ください!
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校長先生より
本山校長先生からお話がありました。
「神を畏れ 人を愛し いのちを育む」という教育理念を持つ恵泉は今年で創立95年を迎えます。
創立当時から、自ら考え発信する力を持ち、世界に目を向けて平和を実現することのできる女性の育成を目指しています。
恵泉女学園大学は募集停止となりましたが、今後は中高に集中し、創立100周年を迎える頃にはホールの建て替えを予定しているそうです。
【教育方針】
恵泉では「聖書」「国際」「園芸」を3つの柱としています。
「聖書」では自分自身を大切にすることを、「国際」では他者を大切にすることを、「園芸」では命あるものを大切にすることを学び、主体性・多様性・協働性を育みます。
さらにこの3つに加え、「芸術」にも力を入れています。
校舎には音楽室が3教室、美術室が2教室あるだけでなく、工芸室も用意されているため、幅広い分野にわたって芸術を学ぶことができます。
多摩美術大学や武蔵野美術大学などの、芸術系に進学する生徒も毎年多くいるそうです。
2024年度中学入試結果
第1回(2科) 受験者448名 合格者253名 → 実質倍率1.8倍
第2回(4科) 受験者340名 合格者182名 → 実質倍率1.9倍
第3回(2科) 受験者250名 合格者37名 → 実質倍率6.8倍
繰上合格3名 入学者数207名5クラス応募者数・受験者数は前年度より微減
第1回・第2回後の手続率が高く、第3回の倍率は非常に高いものとなった
①受験者平均 ②合格者平均 ③合格最低点
第1回 国語:①70.0点 ②76.6点 ③51点
第1回 算数:①56.0点 ②67.5点 ③41点第2回 国語:①51.8点 ②58.0点 ③35点
第2回 算数:①53.2点 ②61.8点 ③38点
第2回 社会:①39.1点 ②44.2点 ③24点
第2回 理科:①45.0点 ②49.2点 ③33点
第3回 国語:①55.3点 ②70.3点 ③56点
第3回 算数:①39.0点 ②63.7点 ③34点
※国語・算数…100点満点 社会・理科…70点満点
国語
恵泉では、各教科において自分の頭で考えることを大切にしており、その土台として確かで豊かな母語の力を育みます。「読書ノート」や「メディアリテラシー」の授業などを通して、自分の考えを言語化し、他者と共有できる力を養います。
入試においては、必要な要素を不足なく記述できたかが得点に大きく影響しました。要素が足りず、部分点に留まる答案が多かったようです。
また、問いに応じて解答の文を整えることも失点を防ぐために重要です。
恵泉では、①考える機会を持ち、②考えを論理的に言語化し、③直しを徹底することを重視しています。
また、数学が苦手な生徒には指名補習を、得意な生徒にはハイレベル演習講座を実施することで、すべての生徒の力を伸ばしていきます。
2024年度入試では、全回において会話文形式の問題が出題されました。小問ごとに条件を整理して段階的に考えることが大切です。
記述問題においては、答えが違っていたり書き洩らしがあったりしても、解き方が合っていれば部分点が与えられます。自分の考えが相手に伝わるような答案を書く練習をして力をつけましょう。
国際社会の中で生きていく土台を作ることを目標とし、自分を取り巻く環境を、歴史や風土などの多角的な視点から学習します。
入試では地理:歴史:公民が2:2:1の割合で出題されました。資料読解・時事問題は毎年必ず出題されます。
教科書に載っていないような細かい知識ではなく、持っている知識を活用して考え、言語化できるかどうかが得点の鍵となります。
また、日頃から世の中の動きに関心を持ち、自分と関連させて考えること、それを相手が理解できるように伝えることも大切です。
理科
恵泉では、観察や実験を通して好奇心を育てること、過程を楽しむ姿勢を身につけることを重視しています。実際に、中1の授業の約7割は観察と実験が占めています。
入試では大問5つのうち2つは生物、化学・物理・地学は大問1つずつの出題となります。恵泉では「園芸」に取り組んでいるため、生物分野が多く出題されます。
ただ、結果を見ると大問3~5で差がついているうえに、大問1・2の合計28点では合格最低点の33点に届かないことから、生物分野以外もきちんと勉強する必要があるとわかります。
勉強するときには、計算ミスをしないこと、資料から必要な条件を読み取ることを心がけましょう。
【併願校】
最も多いのは鷗友学園女子中学校
香蘭女学校中等科、東京農業大学第一高等学校中等部などを受験する生徒も多い
今年度は特に吉祥女子中学校が多かったとのこと
★2025年度入試★
第1回:2月1日(土)午後 2科
第2回:2月2日(日)午後 4科
第3回:2月3日(月)午後 2科
英語教育
平和な世界の実現を目的として、国際理解に必要な英語力を養います。
そのために、中学では基礎を確実に積み重ね、高校では応用力と発信力を育てます。
中学の間は習熟度別ではない少人数クラスで学習し、勉強方法を身につけることを重視しています。
高校では習熟度別クラスに分かれ、エッセイを書いたりスピーチコンテストに出場したりします。第八支部スピーチコンテストでは毎年入賞しているそうです。
高2・高3では科目選択制が採用されているので、自分に合う授業を受けることができます。
また、外部試験も積極的に受検しています。
高3の17%が英検準1級を取得しており、高2のGTEC平均スコアは959.2だそうです。全国平均が793であることから、恵泉生は高い英語力を持つことがわかります。
さらに、国際交流プログラムも豊富です。
短期・中期・長期留学はもちろん、夏休みに1週間英語漬けで過ごす「グローバルスタディーズプログラム」や、韓国やニュージーランドから留学生の受け入れなども行っています。この留学生は10カ月間滞在するので、日常を過ごしながら国際交流をすることができます。
キャリア教育
恵泉では上級生や卒業生から学生生活や大学受験について話を聞く機会が多くあります。また、礼拝や課外活動などを通して、自分の進路を見出していきます。
2024年度の大学合格者は過去4年間で最高の208名となりました。
分野別で見ると文系50~60%、理系30~40%、芸術・体育等10%ほどです。
2024年度は東京理科大に20名、東京大学の理科一類に1名、東北大学の理学部に1名が合格するなど、理系への進学者も輩出しています。
恵泉の特徴として、文理コース制ではないことも挙げられます。
自分の希望進路に必要な授業をそれぞれが選択し、高3では授業内で入試問題を扱います。
卒業まで文理融合クラスで過ごしますが、進路についての個別面談が年6回以上あるので、サポートは万全です。
また、自習室は19時まで開放されており、現役女子大生が毎日4名以上在室しています。勉強内容の質問だけでなく、進路についての相談にも乗ってくれるので安心です。
考える恵泉
「自分らしい生き方について自分自身で考える」ということを重視しています。
そのために、毎朝25分間の礼拝を行っています。一日の始まりに心を静めて人の話を聞き、自己を見つめる時間を設けています。
また、6年にわたり「感話」も行います。中学生は原稿用紙3~4枚ほどに自分の考えをまとめますが、高校生になると7~8枚も書くことができるようになるそうです。そして書き上げたものを中3と高3がそれぞれ中学生、高校生の前で毎週発表します。
感話を通して自己探求をすることで、自分の考えを分析して述べる力がつき、大学入試の志望理由書や就職活動のエントリーシートなどを書くときにも役立ちます。学外の作文やエッセイのコンテストでも多数入賞しているそうです。
「自由服」も恵泉の特徴の一つです。
個性を活かしつつ、生徒自身がTPOに応じた服装を選びます。それぞれが好きな服を着ていても、同じ校章を付けることで統一感があります。
授業を通しても、自分で考える力を養います。
「メディアリテラシー教育」「情報」を通してクリティカルシンキング(批判的思考力)を、「課外サイエンスアドベンチャー」「サイエンス・デー」などを通して論理的思考力を育みます。
中1・中2では全員がクロームブックを使いますが、中3で情報の授業を受けてからは自分に合ったスペックで大学まで使えるPCを購入するそうです。
園芸
「園芸」は他校にない、恵泉の大きな特徴の一つです。中1・高2で週2時間必修となっています。
栽培したものを味わいつくすという方針のもと、作った小麦を粉にして家庭科の授業でスコーンを作ったり、課外活動では上級生の作った味噌を使って下級生がほうとうを食べたりするなど、循環型の活動をしています。
まとめ
校舎を見学させていただいた際、生徒さんのほうから挨拶をしてくれる場面が何度もありました。恵泉生は自由な雰囲気の中にも礼儀正しさを持ち合わせているのだと強く感じました。
そして、恵泉といえば「メディアセンター」。24教室分の広さと9万冊の蔵書に圧倒されつつも、解放感と温かさを感じられる空間です。ぜひ、足を運んでみてください。