「ライティング」は早めの対策が鍵
近年の大学入試では、私立国立問わずライティング(和文英訳・自由英作文)の出題が増えています。合否を決めるほどではないにしても、一定の配点がある分野ですから、早めに対策を始めた方がよいでしょう。
習熟度別の学習法
ここでは分野別・習熟度別に「いつまでに、何を、どのように勉強すべきなのか」についてお伝えします。①和文英訳(日本語の文を英文に直す)②英文の要約や、資料の読み取り(図やグラフを英語で説明したりまとめたりする)③自由英作文(テーマに沿って自分の意見を英語で書く)のそれぞれについて、ご自身やお子様の現状に合わせてご確認ください。
①和文英訳が必要な方
まずは基本となる和文英訳です。設問に書かれた日本語を英文に直すという形式は、頭の中で考えた内容を英語で書くという意味で全ての英作文の基礎となります。資料の読み取りや自由英作文が必要な方も、まずは和文英訳のトレーニングから始めましょう。現在の和文英訳の習熟度に応じ、以下の内容を参考にしてください。
和文英訳が全体的に苦手な方
英作文全般に苦手意識を持っている方は、整序英作文等を通して正しい文の「型」を覚えることから始めましょう。リーディングにも通じる『英文法基礎10題ドリル』や『英作文基礎10題ドリル』などを使い、たとえば「昨日は疲れすぎていたので勉強できなかった」を見て、「ああ、too~to…かso~thatを使えば書けるな」という状態になればこの段階は終了です。この学習は高1~高2夏には仕上げるのが理想です。使っている文法や解説が分からない場合は、学校や塾の先生に聞いたり、家庭教師に頼んで類題をつくってもらったりするとさらによいでしょう。
平易な英文は書けるが、文構造が複雑になると書けなくなる方
上述したような英文は書けても、「同じ本を、年月を経て読み通してみると、よくわかって面白かったという経験を持つ人はすくなくないと思われる。」のように、複雑な構造で2行以上に渡るような和文英訳が書けなくなる方は、覚えた構文や表現を組み合わせることが必要です。また、書かれた日本語をそのまま英語にすることは難しいので、問題文の日本語を噛み砕いた日本語訳に変換することが求められます。
ここで役立つのは『和文英訳教本(公式運用編)』(プレイス)のような参考書です。ここに書かれた内容を高3の夏休み~2学期で繰り返し演習し、添削を受けましょう。家庭教師であれば、書いたその場で添削を受けて書き直し=ブラッシュアップを行うことで効率よく英作文の力を高められます。
2行以上の英文も書けるが、表現をさらに向上させたい方
上述の内容をクリアできたら、大学入試では少なくとも部分点を重ね合格点を取ることができます。一方で、できるだけ英語で点数を稼ぎたい方は、上述の参考書以外にも長文読解の際に出てきた語彙や英語らしい言い回しを「覚える」ことが効果的です。細かな語句の使い分けに自信がないときは、指導者の添削と解説を受けましょう。この学習は、高3の2学期以降入試直前まで続けることが肝要です。
②英文の要約・資料の読み取りが必要な方
英文の要約や資料の読み取りを行うには、英文や図表の正確な読み取りと内容を精確に英文で書くことが必要です。現在の習熟度によって、以下の記事を参考にしてください。
また、前提として、与えられた英文を精確に読み取ることが求められますから、読解が苦手な方は大学受験 リーディングの学習法もご参照ください。
全体的に読解が苦手な方
まずは資料を精確に読めるように、リーディングの学習を優先しましょう。大学受験 リーディングの学習法をご参照ください。
資料の内容は分かるが、読み取った内容をどう英文にするか分からない方
特に図表やグラフでは、数の増減やグラフの示す傾向を英文で書くことが求められることが多くあります。『大学入試原田健作の自由英作文が面白いほど書ける本』(KADOKAWA)のような参考書で、特有の表現を理解して書き写す→類題でその表現を使い書く→添削を受けるという流れで学習しましょう。資料説明特有の表現を手になじませるイメージです。高3の夏休み中に表現を頭の中に入れ、2学期以降は演習と添削を続けると入試までに間に合います。
資料や英文の要約が苦手な方
要約では、必要な情報(筆者の主張や段落内の中心文)と不要な情報(具体例や修飾語句)を区別して、必要な情報を語数に収めることが求められます。実際に要約問題を出題するTEAP等の資格試験の参考書でまとめ方を学びましょう。『TEAP技能別問題集』(旺文社)などがお勧めです。例題で要約方法を知る→類題で演習と添削→書き直すという流れで学習しましょう。特に要約は書き方が一通りとは限りませんから、自分の書いた英文の内容と表現が正しいかどうかは、必ず添削が必要です。ここでも家庭教師などの指導者に頼るのがいいでしょう。書いてからなるべく時間を置かず、その場で書き直すことが効果的です。
③自由英作文が必要な方
自由英作文では、抽象的なテーマに対して自分の考えを英語で説明する力が必要です。そのためには、書くべき内容を考えることと、それを英語で表現することの2つの力が求められます。
そもそも何を書けばいいのか分からない方
「何を書いたらいいのか分からない」と感じる理由の1つは「オリジナリティのある内容にしなければならない」という思い込みです。しかし、入試の英作文では独創性は採点基準として優先されることは多くありません。むしろ、「普通の内容」であっても英語として正しい文法や表現で書かれていれば十分に高得点を得られます。たとえば「受動喫煙についてどう思うか」というテーマであれば「受動喫煙はよくない。喫煙者だけでなく、タバコを吸わない人でもガンになる可能性が高いからだ」のような一般的な意見に対して理由を詳しく説明できればよいのです。
ですから、「何を書けばいいのか分からない」方は、まず「一般的にはこうだろう」という内容を自分の意見として、理由を詳しく書くことを意識して練習しましょう。たとえば英検3級や準2級の過去問や参考書を入門編として使うとよいでしょう。出題される内容が高度な場合は『例解和文英訳教本(自由英作文編)』(プレイス)などの参考書で書く「ネタ」を仕入れるのも効果的です。
書きたいことはあるが、どう書けばいいか分からない方
内容は思いついても英語でどう書けばいいか全く分からないという方は、まずは上述の英検の参考書などを参考にしましょう。書ける内容のレベルを徐々に上げていくイメージです。
平易な内容は書けるが長い文章や論理的な文章が苦手という方は『大学入試 原田健作の自由英作文が面白いほど書ける本』『大学入試 すぐ書ける英作文』(教学社)などを使って、段落構成や段落内の記述手順を学習することが効果的です。特に接続語句の使い方と理由の書き方を覚えましょう。使う語句のバリエーションを増やすことと、細かく書くということです。たとえば「路上喫煙はよくない」という意見であれば、「路上喫煙はよくない。それは危険だからだ。たとえばタバコの火が歩いている子どもにあたったらやけどをしてしまう」というように、「言わなくても分かるだろう」内容も細かく説明をすると論理的な文章になる可能性が高いです。
ある程度の分量も書けるが、内容や表現をさらに向上させたい方
以上の内容は概ね定着しているという方は、和文英訳と同じ要領で『大学入試原田健作の自由英作文が面白いほど書ける本』等の参考書を読んでさらに磨きを掛けましょう。模範解答例や誌上添削等が掲載されており、正解だけでなく誤答のバリエーションも学ぶことで様々なタイプの表現・記述方法を知ることができます。
また、段落構成や意見の展開など「書き方」が定着した後は、最終的にライティング能力は語彙の豊富さと意見内容の深さです。これらは「書く」というよりは質の高い英文や様々な意見を「読む」ことによって培うことができます。その目的では『例解和文英訳教本』(プレイス)を読むことが効果的です。高3の2学期以降は、過去問等で「書く」こととの両輪で進めてください。
「型」を覚えて得点源へ
英作文は苦手意識を持つ人が多く、学習法も分からないという印象が強いかもしれません。しかし、書き方と表現のパターンを覚えてしまえば、意外と得点源となる分野でもあります。ぜひ、家庭教師の添削や書き直しを有効に活用してください。

