今注目のPBL型入試とは?

今注目のPBL型入試とは?

中学受験の入試方法は、様々なものがあります。
通常の4科目入試以外にも、2科目入試や1科目入試などがあります。
それ以外にも、英語入試や自己アピール入試、適性検査型入試などもあるのです。
その中でも、今注目されているのが、PBL入試というものです。
PBL型入試がなぜ注目されているのか、解説します。

PBL型入試とは?

PBL型入試は、和洋九段女子が2019年から実施している入試の方法です。
和洋九段女子は、東京都千代田区にある私立女子完全中高一貫校です。
近年、中学・高校共にグローバルクラスなどを設立し、英語教育に力を入れていることでも知られています。

PBLというのは、「Problem-Based Learning」の略です。
日本語でいうと、問題解決型学習という意味になるでしょう。
これは、日本一入試らしくない入試ともいわれています。

和洋九段女子では、2015年からPBLを授業に導入しました。
その結果、この授業を通じて生徒の成長が実感できたことで、受験にも取り入れることを決定したのです。

この方法で受験をした人の感想では、「テーマが難しかった」という意見や、「先生の表情も固かったので緊張した」という意見もありました。
しかし、最終的な感想では「楽しかった」という、受験ではあまり聞かれない感想も出てきました。

受験の方法は、これ以外にも「国語・算数」や「4科目」、「英語・英語スピーキング」などがあります。
PBL型入試に注目が集まっているのですが、普通の受験でも入学は可能です。

PBL型入試の内容は?

具体的には、どのような形で入試を行うのでしょうか?
まず、この試験は受験性が数人ごとにグループ分けされます。
そのグループ単位で、PBLを進めていくのです。

グループごとに分かれたら、まずは高校2年生などの在校生がお手伝いに来ているので、その人たちの話を聞きます。
しかし、これは受験と直接関係ないので、あまり気にしなくてもいいでしょう。

何の話を聞けるのかというと、先輩方が受験をした時の体験や、学校生活の中でどのようなことがあったのかといったことを、笑いを交えて話してくれるのです。
これは、どちらかというと緊張をほぐすために話してくれるのです。

試験開始の定刻を迎えても、まだ試験は始まりません。
最初に、5分間の集中タイムが設けられています。
そこで、深呼吸をしながら改めて試験に向きあう心構えを整えるのです。

その後は、1人ずつ自己紹介をしていきます。
どう読んでほしいかも、名札に書いておきます。
その際は、グループにそれぞれついているファシリテーターの先生も自己紹介します。

試験は、タブレットを用いて行われます。
用意されたものを使用して検索の練習をしたら、いよいよスタートします。
ここからは動画を視聴して、PBLを開始するのです。

動画を見る際は、メモを取っても構いません。
その後、動画を見た中でどのような問題点があったのかを話し合い、その解決方法を全員で考えていくのです。

問題点と解決方法をまとめて、グループごとに発表します。
実は、ここからがこの入試の本番です。
本日のトリガークエスチョンが提示されるので、それをグループ内で話し合うのです。
その際は、ヒントが提示されることもあります。

2021年の入試では、まず2本のニュース映像を見たうえで「新型コロナウイルスの流行による良い変化について」というテーマでタブレットを用いて検索し、一人ずつ発表しました。

その後、本番が開始します。
まず、AIと世界一の棋士との対決動画を見て、その後AIの発展に伴う未来予想図が提示されました。

そして、トリガークエスチョンは「AIとともに作る理想の未来」とは何か、ということです。
それに対して、受験生はタブレットを用いて検索したり、メモを取ったりしながら自分の考えをまとめていきます。

このとき、監督をしている教頭先生からは「突拍子もない意見でもOK」というコメントもされます。
委縮した当たり前の考えよりも、自由な発想の考えでもいいから自分の力を出し切ることをまず考えるべき、というスタンスなのです。

その意見は、まずグループ内で発表します。
それぞれの考えについて、どこがよかったのかを伝えていきます。
その際に重視されるのは、相手に自分の意見を伝えることのできる話し方と、人の発表を聞く態度です。

全員の発表が終わったら、その中でどの意見が最も優れているかを決めて、それをグループ全体の意見にします。
どうやって決めるかも、自分たちで考えることとなります。

その後は、いったん休憩時間を挟みます。
例年なら在校生がサポートについているのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で在校生はいません。
代わりに、オンラインで話ができるというサプライズが用意されていて、受験生を元気づけてくれました。

休憩が終わると、グループ代表の意見をより良いものとするため、ブラッシュアップを行います。
それぞれ、こうしたほうがいいのでは?という意見を出し合っていくのです。

その様子も先生が見回って確認していて、声掛けなども行います。
それによって、さらにグループでまとめていくという一体感が盛り上がっていくのです。

意見がまとまったら、グループ内で代表者を一人決め、前に出て発表します。

試験は、これで終了となります。
試験中にグループとして頑張った受験生同士は、急激に仲良くなっていました。
今年はソーシャルディスタンスの注意もあり、生徒同士の席もアクリル板で遮られていましたが、それでもグループの意識はしっかりと高まっていたようです。

試験が終わってから

通常の入試は、試験が終わるとそれで解散です。
しかし、PBL型入試の場合は、その後もあるのです。
解散前に、まずは教頭先生からのお話があります。

そこで話される内容は、以前であればPBL授業をなぜ大切にしているのか、ということでした。
その後、ファシリテーターの先生の感想も聞くことができます。
この点も、やはり入試らしくないといわれる理由でしょう。

また、試験会場から退場する際に在校生が花道を作って見送るというのも、去年までは行われていました。
今年は感染防止のため、先生方のみでエア花道を作って見送りました。

実は、このPBL入試を受験した生徒には、その後もいい影響がみられるのです。
この試験を通じて、自分の意見を述べることの大切さを知り、相手に伝えるにはどうしたらいいかを学ぶことができるのです。

その結果、この試験で入学した生徒は、その後クラスの中心となることが多く、クラス全体にも意見を言い合えるようないい影響を与えているのです。
これは、受験をしたものの別の学校に合格してそちらに進学した場合も、同じような影響が出ることとなるでしょう。

この試験の最初では、目標が掲げられます。
それは、以下の2点です。
・一緒にいる仲間と、PBL入試を思い切り楽しむこと
・帰った後は、家族と今日の入試の内容を話すこと

試験の採点は、間違いを探すのではなくよかったところを見つける加点方式です。
受験生それぞれのいいところを見つけていこうという、優しさの詰まった試験なのです。
ぜひ、色々な学校で実施してほしい入試の方法です。

まとめ

中学受験の試験方法は一律ではなく、各校で個性ある方法を実施していることもあります。
その中でも、最近注目されている和洋九段女子のPBL型入試は、まるで入試らしさがない方法ですが、受験生が成長できるような内容で実施されています。
年々受験生が増えている方法なので、別の学校でも今後導入される可能性はあるでしょう。
首都圏で中学受験対策の家庭教師をご希望の方は、是非一度、代々木進学会にご連絡下さい。
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講師一同、お待ちしております。


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