中学受験で覚えておきたいキーワード「令和元年台風」
2019年、日本には台風15号、そして台風19号が上陸し、大きな被害をもたらしました。
台風は毎年のように上陸して少なからず爪痕を残していますが、この2つの台風の被害は特に大きく、後世に伝承されるべきとされています。
具体的に、どのような台風だったのでしょうか?
2つの台風に関して、詳しく説明していきます。
台風のしくみ
台風がニュースにならない年というのは、まずありません。
毎年、様々な規模のいくつもの台風が発生し、日本に上陸するかどうか、どの地域に訪れるのかに注目されていますが、そもそも台風とは何か、よくわからないという人もいるでしょう。
台風は、熱帯の海上で発生する低気圧の一部です。
この低気圧自体は熱帯低気圧と呼ばれるのですが、その中でも特に北西太平洋や南シナ海に存在して、低気圧域内で10分間の平均最大風速が秒速17メートルを超えるものだけが、台風といわれるのです。
台風は、海面から生じる水蒸気が凝結する際の熱をエネルギーとして発達しているのですが、海面や地上との間に生じる摩擦によってエネルギーを消費しています。
そのエネルギーを失い、勢いが弱まると熱帯低気圧や温帯低気圧と呼ばれるようになるのです。
特に、陸地へと上陸した台風は急速にエネルギーを失います。
そのため、台風が上陸した地域の被害は大きいのですが、そこから広範囲に被害が広がることはめったにないのです。
台風は、地球の自転の影響で北、あるいは北西に進むという性質があります。
同じく自転の影響で、北半球では反時計回りとなる台風が、南半球では時計回りと反対方向になるのです。
また、台風は赤道付近で発生することはあっても、赤道上で発生することはありません。
暖かいところで発生するのなら、赤道上で発生してもおかしくないように感じますよね?
しかし、赤道上では地球の自転から受けるエネルギーが少なすぎるため、台風にはならないのです。
台風15号と台風19号
台風は、毎年観測された順に1号から名前が付けられています。
つまり、台風15号はその年の15番目の台風、19号は19番目の台風です。
これは、日本に来ることなく消滅した台風も番号に含まれます。
日本だけではなく、アジア各国で連携して対応するためです。
台風15号が発生したのは、2019年9月5日です。
関東地方にはたびたび台風が上陸していますが、その中でも観測史上最大クラスの勢力を誇る台風であり、9月9日に三浦半島を通過して東京湾から千葉へと上陸しました。
千葉に上陸した後は、茨城へと進んでいったん会場に出ましたが、そこから再上陸して福島や宮城を通過し、東進していきました。
この台風による死者は3名、負傷者は重傷者13名、軽傷者137名の合計150名に及びました。
また、家屋への被害が甚大となりました。
千葉県を中心に、8都県で合計391棟の住宅が全壊、一部損壊も含めると75,000棟以上が被害に遭っています。
また、住宅以外にも1660棟の建物が被害を受けています。
この台風で、千葉県内の送電塔が2本、電柱が84本倒壊し、およそ2,000本の電柱が損傷しました。
その結果、神奈川や千葉を中心に約93万戸が停電してしまったのです。
わずかな停電は珍しいものではないのですが、この停電はかなり長期に及びました。
9日から始まった停電は、1週間経過した17日の時点でも6万戸で電気が復旧できず、完全復旧までは2週間以上かかりました。
ただし、実はこの台風15号は平成30年に生じた台風21号よりも勢力は弱く、被害も小さかったのです。
それなのに、なぜ注目されているかというと、次に生じた台風19号のせいでもあるのです。
台風19号は、2019年10月6日に発生しました。
台風15号のわずか1か月後です。
そして、12日には日本へと上陸しました。
静岡県の伊豆半島から上陸した台風19号は、関東地方を通過して福島へと移動していきました。
13日には海上へと移動したのですが、日本に与えた影響はすさまじいものだったのです。
台風19号がもたらした被害の原因となったのは、雨です。
関東甲信地方や静岡県、新潟県、東北地方では、各地で観測史上1位の降水量を更新する、記録的な大雨となったのです。
大雨特別警報が14都県に発表され、過去最多の発表数となりました。
特に降水量が多かった箱根では、24時間降水量が942.5mmとなり、それ以外の地域でも500mmを超えるところが多数ありました。
その結果、洪水や土砂崩れが各地で発生したのです。
人的被害が最も大きくなったのは福島県で、複数の河川が氾濫して広い範囲で決壊し、30名の死者が出ています。
宮城県でも、阿武隈川支流で破堤や土砂崩れが起こり、19名の死者が出ました。
全体では、死者86名、重軽傷者を合わせた負傷者が476名に及びました。
また、3名が行方不明となっています。
浸水被害に遭った建物も約3万棟、損壊した住宅は6万6千棟以上でした。
日本政府は、この台風の被害を重く見て、激甚災害及び特定非常災害を適用しました。
特定非常災害が台風に適用されたのは、これが初めてです。
また、大規模災害復興法における非常災害も適用されることになりました。
14都県390自治体に対して、東日本大震災の時も適用された災害救助法も適用されることになりました。
しかし、適用範囲は東日本大震災を超えて、過去最大に及んでいます。
この台風による被害総額は、3961億円とされています。
台風15号と合わせて、多くのイベントが中止、あるいは延期となっています。
ラグビーワールドカップで、一部の試合が中止になったことは記憶に新しいでしょう。
台風の名称
この2つの台風について、気象庁は台風15号を「令和元年房総半島台風」と命名しました。
また、台風19号は「令和元年東日本台風」と命名されています。
実は、これも大きなポイントなのです。
なぜかというと、普段日本では台風に名前を付けていません。
毎年、その年の〇号台風、歳か読んでいないのです。
今回名前が付けられたのは、1977年に発生した沖永良部台風以来なので、実に43年ぶりとなるのです。
台風に名前を付けるのには、基準があります。
2018年に規定されたのですが、基準として損壊家屋が1,000棟を超えるか、浸水する家屋が1万棟を超えた場合に命名することとなっています。
今回、台風15号は損壊家屋が1,000棟を超えたために命名されました。
台風19号は、両方の基準を超えています。
つまり、それだけめったにない規模となるはずの台風が、わずか1か月の間を空けて2つ発生したのです。
この原因として、地球温暖化による海面水温の上昇を訴える人もいます。
それが真実かどうかははっきりしていませんが、少なくとも原因の一端を担っていると考えられるのは間違いないでしょう。
ということは、今後も同じような規模の台風が何度か生じる可能性があるのです。
今回のような被害が生じないようにするには、今のうちからできる限りの備えをしておくべきでしょう。
そのために、厚生でも特別なものとして判断できるように、名前が付けられているのです。
まとめ
2019年から2020年にかけては、かなり多くの出来事が起こっています。
その中でも影響が大きかったこととして、台風15号と台風19号は外すことができません。
中学受験では、時事問題が合格を左右するともいわれています。
印象深い出来事については、なるべく細部まで確認しておいたほうがいいでしょう。
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