「緊急事態宣言」は中学受験で覚えておきたい注目キーワード

中学受験で覚えておきたい注目キーワード「緊急事態宣言」

コロナウイルスが拡大の一途をたどっている現状を受けて、2020年4月7日に7都府県に対し、「緊急事態宣言」が出されています。
その後、4月16日には緊急事態宣言の対象に残りの40道府県が加わり、日本全国が対象になっています。
この緊急事態宣言について、正確に知っておきましょう。

緊急事態宣言とは?

緊急事態宣言は、大規模な自然災害や感染症のパンデミック、原子力事故などの災害、テロ、内乱、暴動などが生じた際に出されるものです。
国家の存続に関わるような有事が生じた際に、内閣総理大臣が宣言するものであり、その宣言に基づいて特別法が発令されます。

今回出された緊急事態宣言は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて出されたものです。
この法律は2012年に成立したもので、国民保護法をモデルとして制定されています。

今回の新型コロナウイルスの発生により一部が改正され、2020年3月14日から最長で2年間は新型コロナウイルスも対象とされることになりました。
それに伴って、改正された法律については新型コロナ(ウイルス)特措法とも呼ばれています。

日本で緊急事態宣言が出されたのは、これが初めてではありません。
直近では、東北地方太平洋沖地震によって起こった、福島の原子力発電所の事故に対して2011年に原子力緊急事態宣言を発しています。
このときは、原子力災害対策特別措置法に基づいて出されています。

それ以前だと、1982年に日本国有鉄道の経営が極端に悪化したことで、国鉄緊急事態宣言、が出されています。
その翌年から民営化の動きが始まり、1987年に現在のJRグループが発足したのです。

ところで、ニュースを見ていると時々、「非常事態宣言」という言葉が使われていることがあるのにお気きでしょうか?
緊急事態宣言と非常事態宣言、意味としてはそれほど大きく変わりませんが、どちらが正しいのか、ということも覚えておきましょう。

日本で、政府から出された場合は必ず、緊急事態宣言と表記されます。
それはなぜかというと、日本の法律の規定については、緊急事態宣言に文言が統一されているからです。
あえて違う言葉で表現する必要性がない限りは、必ずその通り使われるのです。

では、非常事態宣言というのは何なのか、ということですが、こちらは主に日本以外の国で出された場合に使われます。
海外では、英語での表記が主となりますが、その際はEmergencyのように表記されます。
これを日本語に訳す際、メディア等が非常事態、あるいは非常事態宣言と翻訳しているため、2つの言葉が入り混じっているのです。

つまり、意味としては同じものです。
一応、日本で出される場合は緊急事態宣言となりますが、非常事態宣言でも変わらない、ということを覚えておきましょう。

緊急事態宣言によって何が行われる?

緊急事態宣言は、何もただ注意を呼び掛けるだけではありません。
緊急事態宣言が出されると、いったい何が行われることとなるのでしょうか?
緊急事態宣言を出す意味や、具体的な内容について確認してみましょう。

まず、緊急事態宣言を出されたことで、対象となった地域では感染拡大を防ぐために必要な措置について、協力の要請や指示ができるようになります。
このときは、内閣総理大臣ではなく各都道府県の知事から出されることになるのです。

具体的な内容としては、まず外出の自粛要請が出されます。
これは、今までも呼びかけられていたものですが、あくまでも呼び掛けていただけです。
今回はそれが、法律に基づいて出されているものになる、ということです。

また、遊技場や遊興施設、催物についての制限なども要請できるようになります。
要するに、多くの人が集まるようなことはしないでほしい、という要請が出せるのです。
こういった要請は、聞き入れない人が多ければより具体的に、指示へと移行します。

また、今回はまだ無理ですが、予防接種が可能になればそれも行われます。
その際は、国が必要な財政を負担することになります。
それ以外にも、医療提供ができるような体制を確保していきます。

さらに、特定物資について政令で定められているのですが、それを売り渡す要請、あるいは収用も可能となります。
緊急物資については、運送の要請や指示も可能です。

そのほか、行政上の手続きについては期限の延長が可能になります。
最近では、納税期限の猶予や運転免許証の更新猶予などが目立っています。
それ以外にも、何か期限がある手続きについては、期限を過ぎてからでも可能になるのです。

こうして並べてみるとわかるのですが、基本的に緊急事態宣言が出される前とそう大きな違いはありません。
これまで呼びかけられていた注意事項が、そのまま具体的な要請に変わっただけです。
既に対応済みのところも多いので、大きな混乱は生じないでしょう。

こうした要請や指示について、気になるのは従わなかった場合の罰則です。
実は、緊急事態宣言に従わなかったとしても、罰則は特にないのです。
ただ、普通は感染リスクを自ら高めるようなことはしたくないので、要請が出たら素直に従う人がほとんどです。

また、現在は様々なところから休業に関する補償を求める声が上がっています。
しかし、緊急事態宣言では、その際に被った損害などに対する補償については、規定がありません。
唯一、政府関係の金融機関による融資が可能とされているだけです。

補償に関しては検討されていますが、具体的にどうなるかは不明です。
ただ、保障されることが決まったとしてもその内容については、ケースバイケースとなります。

ロックダウンとは違うの?

海外では、緊急事態宣言とともにロックダウンも行われているところもあります。
ロックダウンは都市封鎖という意味で、ヨーロッパなどで実施されているのですが、日本ではロックダウンが行われることがあるのでしょうか?

まず、日本の法律ではロックダウンに該当するものは定められていません。
そのため、どこかの都市で外出を絶対にしないことと強制することはできません。
ましてや、違反したら罰則を与える、ということもできないのです。

アメリカやヨーロッパでは、外出を原則禁止して違反者には罰則を設けているところもいくつかあります。
また、イタリアでは鉄道の運行を停止して、アメリカでは10人以上の会合や外食、旅行などを避けるようにというガイドラインを大統領の名前で出しています。

非常に厳しい対応をしている国が多いのですが、それに伴った損失の補償や給付、休業補償といった公的支援も同時に行われています。
つまり、国として国民を守っているという見方もできるでしょう。

日本の場合は、あくまでも要請が主であり国民の良識に任せているところが少なくありません。
この違いは、国民性の違いなどから生じるものといえるかもしれません。

まとめ

世界中で感染者が増え、少なくない死者も出ているコロナウイルスは、今最も注目されている話題です。
それに関連した内容は、中学入試で出題される可能性が高いので必ず押さえておきましょう。
今回、緊急事態宣言が出されたことで、不安だったコロナウイルスについてさらに不安が増した、という人も増えています。
そうしたときに、具体的な内容を知っているだけでも不安が和らぐこともあります。
余計な不安を持たないように、新しいワードが出てきた時はどんなものか、正確に知っておくようにしましょう。

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