役に立つ!時事問題解説②日本の世界遺産登録「百舌鳥・古市古墳群」
時事問題への理解は、中学受験の合否を左右するともいわれるほど重要なポイントです。
今回は、その中でも2019年に大きな話題となった「百舌鳥・古市古墳群」について詳しく解説していきます。
可能な限りわかりやすく解説しますので、ここでしっかりとポイントを押さえておきましょう!
百舌鳥・古市古墳群について
2019年7月6日、大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市に存在している「百舌鳥・古市古墳群」がユネスコの世界遺産委員会に認められ、世界文化遺産に登録されました。
正式名称は、「百舌鳥・古市古墳群-古代日本の古墳群-」といいます。
日本国内には、1993年に登録された法隆寺地域の仏教建造物をはじめとして2018年には22件目となる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺跡」が世界遺産として登録されていましたが、この百舌鳥・古市古墳群が登録されたことで23件目となりました。
また、内訳としては自然遺産が4件含まれているので、文化遺産としては19件目になります。
この遺跡群は、大阪府では初めての世界遺産となります。
また、宮内庁が管理する陵墓、つまりは天皇や皇族のお墓が登録されるのは、今回が初めてのことでもあります。
この古墳群は、長さが486メートルに及ぶ日本国内でも最大の古墳である仁徳天皇陵古墳をはじめ、425メートルの応仁天皇陵古墳などの大規模な前方後円墳を含む、合計45件49基の古墳によって構成されています。
その中には、29基の陵墓が含まれています。
ユネスコの諮問機関、つまりは調査などを担当する機関であるイコモスによって、古墳時代の埋葬の伝統や社会政治的構造を証明するものとして登録を勧告されたことで、今回の登録につながりました。
世界遺産へと登録する動きは、2007年から始まりました。
当時、文化庁による世界遺産候補地の公募に応募したのが始まりで、その際に暫定リストへと掲載され、2013年から毎年世界遺産への推薦を目指していました。
しかし、国内選考から漏れてしまったため、なかなか推薦を受けられませんでした。
しかし、2017年になってようやく、2019年の登録審査候補になることができたのです。
そして、2019年に無事候補として選出され、今回の登録へとつながりました。
ただし、登録するにあたって不安に思われているところもあります。
それは、この百舌鳥・古市古墳群の立地条件にあるのです。
というのも、これらの古墳群は住宅街がある都市部に存在しているのです。
都市部の場合は、いつ何時開発が進められるかがわからず、その際に遺跡群を保存できるかどうかが懸念されている点です。
また、今後は観光客も増えることが考えられるので、その際にどう受け入れるかという点も問題となります。
現在は古墳そのものを保護するよりも、その周辺の環境を整えるという点に対策の重点を置いています。
周囲の建築物は、今後の増改築や新築の際に高さの制限を設けられたり、色彩などの規制を受ける可能性が高いでしょう。
また、近隣では看板などの撤去も進められているのですが、ネオンなどを規制するにしてもどこまでを規制対象とするか、その範囲は曖昧なままです。
あまり厳しくしてしまうと、企業の商業活動の妨げになって法人税の減収にもつながる可能性があるので、範囲を明確にするのが難しいのです。
既存の建物にも、様々な問題が生じています。
藤井寺市の保育所では、耐震基準を満たしていないために建て替える計画がありましたが、景観に配慮するために取りやめとなったため、利用している保護者からは不安の声が上がっています。
また、堺市にある自転車博物館の移転、および堺市博物館の老朽化に伴った新設計画なども中止されています。
このように、世界遺産として保存するために、様々な問題が生じているのです。
中学受験への出題
この百舌鳥・古市古墳群が中学受験の時事問題として出題されるとしたら、どのような形で出題されることとなるでしょうか?
その出題傾向について、考えてみましょう。
まず考えられるのが、遺跡群そのものについてです。
これらの古墳が作られたのは、4世紀後半から5世紀後半にかけてのことです。
その当時、墳墓が作られた背景などが問われる可能性があるでしょう。
当時は、広域の豪族が連合政権を樹立し、初期国家を形成しつつありました。
つまりは、日本が国家としてまとまりだした時代なのです。
この古墳群では、その過程を示していると考えられています。
また、当時の権力者の権勢、つまりは権力の強さについても知ることができるでしょう。
古墳群といっても、そこには様々な形状のものがあります。
もっとも有名なものが前方後円墳ですが、それ以外にも円墳や方墳などがあり、変わったものでは帆立て貝形などもあります。
この違いが、被葬者の権力の強さや身分を示しているのです。
また、古墳の形状とその後の時代の皇族の墓形との共通点に注目して、埋葬の伝統について知ることもできるでしょう。
当時の副葬品である、埴輪に関する問題なども出題されるかもしれません。
世界遺産となった古墳群は、堺市と羽曳野市、藤井寺市の3市にまたがっています。
そのため、この3市に関する問題も出題される可能性があるでしょう。
もしくは、広く大阪府全般に関する問題が出題される可能性もあります。
地域の問題としては、様々なものが考えられます。
地理として日本のどこにあるかということから、どんな漢字を書くのか、府知事や市長の名前、人口、特産品などの特徴などは基本として押さえておくべきでしょう。
主要な古墳の位置については、地図のどこにあるのかという問題が出される可能性も考えられます。
ただし、細かく確認していくときりがないので、総合的に確認をしていくべきでしょう。
そのうえで、各中学校のこれまでの時事問題に関する傾向を見ておおよその出題範囲を絞り込んでいく必要があります。
中学校によって、時事問題のどこに注目するのかはバラバラなので、過去に世界遺産として登録された遺跡群に関する出題などが参考になるのではないでしょうか。
また、世界遺産という話題から、過去に登録されている世界遺産についても確認しておくべきです。
特に、日本では2013年から7年連続で登録しているので、その登録された世界遺産の名称や、登録された順番などは覚えておいたほうがいいでしょう。
今回、登録されることになったのはあくまでも百舌鳥・古市古墳群です。
しかし、時事問題となるとその古墳群に限らず、様々な関連する分野に関して出題されることも考えられるのです。
古墳群という話題は、将来的に社会の教科書で掲載される可能性も高く、学校としては非常に注目される問題です。
中学受験においても、いろいろな形で出題される傾向が高いのは間違いないでしょう。
こうした時事問題について、しっかりと確認しておくことで点数を取ることができれば、合格にぐっと近づくこととなります。
受験に向けて、よく調べておきましょう。
まとめ
中学受験では、その年のニュースで話題となったような時事問題がよく出されるので、その話題をしっかりと確認しているかどうかが大きな分かれ道につながります。
特に、百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録されたというニュースは、学校としても今後社会の授業に登場する可能性が高い、注目ワードといえるでしょう。
そのことについて、しっかりとした知識を得ているか、それとも表面的なことしか知らないかが、中学受験の合否に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。
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