役に立つ!時事問題解説➀新天皇即位と改元について

中学受験において、得点差が大きくなりやすいといわれているのが時事問題です。
今回は、その中でも2019年に大きな話題となった、新天皇即位と改元について、詳しく解説していきます。
可能な限りわかりやすく解説しますので、ここでしっかりとポイントを押さえておきましょう!

新天皇即位について

2019年は、平成という時代が31年で終わり、新しく令和という時代が始まりました。
これを改元といって、これまでの天皇から新しい天皇になったことで、元号、つまりは日本で使われている時代を示す称号が変更になったということです。

しかし、新天皇が即位するというだけなら、これまで使われていた平成になったときはもちろん、その前の昭和や大正、明治になった時にも新天皇は即位しています。
それなのに今回は特に大きな話題となっているのですが、これまでとはどんな違いがあるのでしょうか?

日本の歴史をみると、過去に「上皇」といわれる人物がたびたび登場しています。
上皇というのは、退位した、つまりは新天皇に交代したこれまでの天皇のことをいいます。
今回でいうと、平成の天皇明仁が上皇陛下になったということです。

しかし、上皇というのは歴史上登場しますが、近年ではあまり聞くことがありません。
それはなぜかというと、近年の天皇交代は、それまでの天皇が亡くなった際に行われていたからです。

天皇の退位による新天皇即位は、1817年に譲位、つまりは天皇の地位を譲って退位した光格天皇以来202年ぶりのことなのです。
また、現在の日本国憲法は1947年に施行されたものなので、その憲法に則って天皇が象徴とされてからは、初めて生前に譲位する天皇となりました。

しかし、初めてということは前例がないということです。
前例がないことについては、色々と揉めることが多いのも確かなことです。
今回の生前退位に関しても、憲法違反ではないかという意見がいくつも出ていました。

日本国憲法を見ると、第一章に天皇に関することを定めていて、第1条から第7条までに分けられています。
その解釈について、意見が分かれているのです。

第1条では、天皇が象徴であるということを明確に記していて、第2条には皇位が世襲であり、皇室典範という法律に基づいて継承される、ということを示しています。
世襲というのは、つまり、“地位などを子孫が受け継ぐこと”という意味です。

その一方、皇室典範には、“天皇が崩じたときは、皇嗣(コウシ)が直ちに即位する”つまりは、天皇が亡くなった場合にはその後継者となる皇太子がすぐに即位しなければいけない、と定められています。
この意味としては、皇位の継承は天皇が亡くなった場合のみ、ということになるのです。

今回の生前退位は、この皇室典範に違反しており、それに伴って皇室典範に基づくことを示した憲法にも反しているという意見が出されたのです。
それなら、その皇室典範を変えるというのはどうかという意見もあるのですが、それはまた別に憲法違反となる、という意見があります。

憲法第4条には、“天皇は憲法が定める国事に関する行為だけを行い、国政に関わることはできない”とされています。
つまり、天皇の希望で皇室典範を改正するというのは、この憲法に違反する可能性があるのです。

ただ、明仁上皇陛下は1933年生まれで、即位した時点ですでに55歳です。
生前退位の意向を示したのは2016年のことでしたが、その時点で83歳になるのです。
前立腺がんや不整脈などの病歴もあり、2012年には心臓の手術も受けています。

83歳といえば、会社員ならとっくに定年を迎えている年齢であり、定年がない会社の社長などでも引退していておかしくない年齢なのですから、天皇という地位を譲りたい、と考えるのは当然ともいえるでしょう。

こうした背景もあって、生前退位が可能となるように「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」を2017年6月16日に公布し、2019年4月30日をもって施行することとなりました。
これは今回限りの特例とされてはいますが、恒久的なものとしようという意見も出ています。

こうして、様々な問題が生じつつも天皇の退位が可能となり、新天皇が即位することとなりました。
それに伴って、祝日にも変化がありました。

5月1日というと、ゴールデンウィークの真ん中です。
2019年は、4月27日が土曜日、28日は日曜日、29日が昭和の日でした。
そして、4月30日から5月2日までは平日で、5月3日から6日までが4連休という予定でした。

しかし、5月1日が新天皇即位に伴う祝日となったことで、2019年に限り祝日に挟まれる形となる4月30日と5月2日も休日として扱われることになったのです。
その結果、2019年のゴールデンウィークは10連休となりました。

天皇誕生日も、これまでは平成天皇の誕生日であった12月23日でしたが、今後は2月23日に変更となります。
こうした祝日の変化についても、覚えておきましょう。

改元について

平成から令和への改元は、非常に明るいムードで行われ、全国から改元を祝う声も上がっていました。
しかし、昭和から平成に改元されたときには、このようなムードではありませんでした。

明治から大正、大正から昭和、そして昭和から平成に改元されたときというのは、それまでの天皇陛下が亡くなったときです。
そのため、新天皇の即位や新しい年号を祝うという雰囲気にはならないのです。

昭和から平成になった時も、60年以上在位していた昭和天皇が崩御、つまりは亡くなったということで、多くの人が拍手、大声などを自粛していました。
また、お店でも深夜営業はもちろん、有線などで明るい曲を流すことも控えていたのです。

それに比べて、今回の平成から令和への改元は、多くの人がお祝いムードとなっています。
それはやはり、生前退位による新天皇即位を歓迎しているからでしょう。

また、改元というのは大きな混乱を伴うものでもありました。
新しい年号は、新天皇の即位に伴って発表されるものだったため、事前に準備することができません。
そのため、会社などで使うハンコをあらかじめ用意したり、書類を変更したりすることができないのです。

しかし、今回の改元では4月1日に「令和」になると発表され、実際に変更されるのが5月1日となるため、1か月の準備期間が用意されたことになります。
そのため、十分に備えておくことができたのです。

また、令和という元号は、これまでの年号と違ったところがあります。
日本の元号は、645年に「大化」という元号が定められてから、令和で248番目となるのですが、令和の1つ前の平成までは、確認できる限りすべてが漢文で書かれた中国の書籍を出典としています。

しかし、令和の場合は中国ではなく、日本の古典である万葉集から採用されているのです。
特に、「令」という漢字が年号に採用されたのは、これが初めてのこととなっています。

この年号を定めた理由としては、「春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した。」とされています。

元号に関しては、元号法という法律に基づいて決められています。
これは1979年に定められた法律なので、施行されてからは平成が最初であり、今回の令和が2度目ということになります。

実は、元号については廃止してしまい、西暦に統一するべきだという意見も出ています。
というのも、世界的にみて元号を使用しているのは日本だけなのです。
そのため、一時期は昭和で元号を廃止しようという動きもありました。

しかし、元号を存続させたいという動きからこの元号法が定められ、元号は法律によって守られることとなったのです。
こうして、今回も平成から令和へと改元されることになりました。

まとめ

新天皇が即位し、改元となったことで平成から令和へと時代が変わり、それに伴って色々な変化が生じました。
中学受験では、その変化した点が時事問題として出される可能性がかなり高いでしょう。
この内容を知っているかどうかで、得点に差がつくこともあるので、ポイントをしっかりと押さえておくようにしましょう。

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