中学受験の午後入試について考える

中学受験の特色である、午後入試というのをご存知でしょうか。
近年、採用する中学校が増えているため、聞いたことがある人も多いでしょう。
なぜ、中学受験には午後入試というものがあるのでしょうか?
また、そこには様々なメリットやデメリットも存在します。
どのようなものなのか、解説していきます。

午後入試とは?

中学入試では、2000年代の初めころから午後入試という制度が導入されています。
当時は、その特殊性から胡乱な目で見られていたのですが、その有用性が認められて現在では東京や神奈川の私立中学のうち、およそ150校が導入しているといわれています

ところで、名称を聞いてなんとなく意味は分かると思いますが、それに何の意味があるのかわからない、という人もいると思います。
なぜ、このような制度が導入されているのでしょうか。

この制度は、その名前の通り入学試験が午後から始まるという入試制度のことです。
時間は各校で若干の違いはありますが、おおよそ午後2時頃に開始することが多いでしょう。

基本的に4科目ではなく、1科目か2科目で行われる場合が多いのも特徴です。
これは、受験者であるお子さんの体力的な負担を考慮した結果であり、4科目での入試を行う学校はそもそも導入していないことが多いのです。

それでは午前中に何をするのかというと、午前は午前で別の試験を受けるのです
というのも、中学入試の日程は2月1日から3日に集中していて、多くの中学校はこの3日間に試験を行っているのです。

受験生の中には、複数の中学校を併願している方も少なくありません。
しかし、わずか3日間に受験日が集中している以上、日程がかぶってしまうのは仕方のないことです
そうなると、受験生はどちらかを選ばなければいけなくなるので、受験しづらくなってしまうのです。

ただ、中学受験というのは多くても4科目で、しかも1科目ごとの時間も少ないため、お昼頃には終了します。
そこで、併願を希望する中学校が午後入試を実施している場合は、午前中の試験が終わってから次の中学を受験することができるため、希望する中学の受験を諦めなくてもいいかもしれません。

午後入試のメリット

この制度を利用することには、いくつかのメリットがあります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、紹介していきます。

まず、最も大きくシンプルなメリットが、受験できる学校を増やすことができるという点です。
中学受験で併願は当たり前であり、1月受験と並んでその併願数を増やすのに役立っています。

また、これがあることで、併願する学校も強気に選べるようになります
魅力があり、合格する可能性も高い学校の入試をこの制度で受験する場合、他の日や午前中の入試を受ける学校をワンランク上にしてみることもできるでしょう。

中学の場合、入試から合格発表までの間が短く、早ければ試験が終わってその日のうちに合格発表がされるところもあります。
複数の中学校に志願したとしても、最初の入試で不合格となってしまった場合はその後落ち込んでしまって上手くいかないこともあります。

しかし、その日の午後入試で合格できれば、その翌日からの入試も明るい気持ちで受験できるようになるでしょう。
すぐにその合否が発表されることが多いので、確かに合格できたという自信と共に残りの入試に挑むことができます。

場合によっては、同じ学校を午前と午後、2回受験するというのも有効です
中学入試では、どうしても緊張してしまいがちです。
そこで、会場の雰囲気を知ることを優先して、午後をメインにするのです。

午前と午後の入試問題は別のものになりますが、問題の傾向としては似ていることが多いので、午前の入試では傾向の読み間違いから焦ってしまったとしても、午後にはその点を踏まえた上で、落ち着いて受験できるようになるでしょう。

学校によっては、午前と午後の2回受験した際に、優遇措置を講じているケースもあります。
点数がプラスされることもあれば、繰り上がりの補欠合格が生じた際に、優先して選ばれることもあるのです。

また、この制度を利用する場合は、主に併願で受験する学校が多いと思いますが、学校によっては午前は普通コース、午後は特別コースと分けているケースも見受けられます。
高校でいうところの特進コースのようなものであれば、受験の際に高いモチベーションを持つことができるでしょう。

中学校の中でも、進学校や難関校と言われる学校ではこのようなコース分けをしている傾向が多くみられます。
具体的には、このようなメリットが考えられます。

午後入試のデメリット

一方で、この制度にはデメリットになると思われる点もあります。
どのような点がデメリットとなるのでしょうか?
その内容を覚えておいて、受験の際は注意しましょう。

まず、問題となるのは受験生への負担です。
言うまでもなく、入試というのは非常に緊張するものです。
特に、中学受験の受験者はまだ精神的に未成熟ですから、感情の動きも大きくなるでしょう。

そんな中で、1日に2回受験することになるのですから、負担は単純に考えて2倍となります。
時間も短く、入試の科目も少ないことが多いとはいえ、やはり2回目の試験は不安も大きいでしょう。

あまり体力や精神力が強くないのであれば、受験するのは午前中か午後のいずれかに絞り、残りは次の入試の勉強時間か、気分をリフレッシュさせることに使うというのも1つの選択肢となるでしょう。

また、午前中の入試で落ちてしまった場合、翌日の入試までに気持ちをリセットする時間があります。
しかし、午前中に落ちたショックを引きずったまますぐに再度入試を受けてまた落ちてしまうと、その動揺はさらに大きくなります。

しかも、気持ちを切り替える時間がないので翌日になっても引きずったまま、となる可能性もありえます。
このような影響を与えないためには、親御さんのフォローが不可欠でしょう。

午後入試によって受験できる学校が増える一方で、対策に時間が足りなくなる可能性が出てきます。
共通した勉強で済むのであれば問題はないのですが、学校ごとに問題の癖があるので、それに慣れていく時間が足りなくなってしまうのです。

どの学校が本命なのか、また合格の可能性が高いのはどの学校なのか、という点をしっかりと踏まえておき、その対策だけは怠らないようにしましょう
もしかしたら受かるかも、と考えている難関校の対策を中途半端にやっても、混乱するだけで終わる可能性が高くなってしまうので注意してください。

午前と午後、2回入試を受けられるとはいっても、別々の学校を受けた場合は会場もそれぞれの学校となります。
そのため、移動に時間がかかるでしょう。

午前の入試は、大体13時前には終わります。
それでも、午後が2時からであれば、移動時間は昼食の時間を含めて1時間程度しかないのです。

特に、車の場合は渋滞に巻き込まれる可能性があるので、十分に注意しましょう。
受験前に、移動経路の確認をしておくことも大切です。
デメリットには十分気を付けて、志望校合格を目指しましょう。

まとめ

中学入試で浸透しつつある午後入試は、受験生にとっていい面もあれば悪い面もあります。
しかし、入試における選択肢が増えるという点では、利点があるということは明らかでしょう。
これは、必ず受験しなくてはいけないものでもありません。
しかし、せっかくメリットがあるものなので、不利になることは十分に対策をしていけば、合格率アップにつながるでしょう。

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